第12回東奥スポーツ賞

 第12回東奥スポーツ賞の受賞者は2チーム3個人に決まった。東奥スポーツ大賞は、大相撲で通算出場、幕内在位、幕内出場、三賞獲得数などがいずれも現役力士最多の安美錦竜児関(39)=深浦町出身。東奥スポーツ賞は、愛媛国体成年男子サッカー競技で県勢として初優勝したラインメール青森FC、同国体自転車男子チームスプリントで県勢初優勝を飾った青森県チーム、聴覚障害者による国際総合スポーツ大会「デフリンピック」の陸上男子400メートルリレーで金メダルを獲得した佐々木琢磨選手(24)=五戸町出身、仙台大教職員=に贈呈。東奥スポーツ功労賞は、青森県の野球振興に尽力した弘前市野球協会会長の水木厚美さん(78)に贈る。

東奥スポーツ大賞
 ▼安美錦竜児関 ― けが乗り越え敢闘賞
東奥スポーツ賞
 ▼ラインメール青森FC ― 国体無失点 初優勝
 ▼チームスプリント青森県チーム ― 走り圧巻 国体初V
 ▼聴覚障害陸上400メートルリレー佐々木琢磨選手 ― 日本初の「金」に貢献
東奥スポーツ功労賞
 ▼弘前市野球協会会長 水木厚美さん ― 青森県野球振興に尽力

◆東奥スポーツ大賞

豪風関とのベテラン対戦で、タイミングよくはたき込みを決める安美錦関=2017年11月の大相撲九州場所
【昭和以降、最年長で再入幕を果たし、敢闘賞を獲得した安美錦関=2017年11月の大相撲九州場所
安美錦竜児関 ― けが乗り越え敢闘賞

 21歳で新入幕を果たし、1月の初場所で幕内在位96場所を迎えた。魁皇、旭天鵬、高見山に次いで歴代4位。幕内出場、三賞獲得数と合わせ、いずれも現役力士最多を誇る。

 力士人生を揺るがす大けがを乗り越え、昨年11月の九州場所では昭和以降、最年長の39歳で幕内に返り咲いた。多彩な技で初日から5連勝と気を吐いたが、10日目で7勝目を挙げた後4連敗。迎えた千秋楽、少年時代に父親からたたき込まれた出し投げで勝ち越しを決めた。12度目の三賞となる敢闘賞も受賞。取組後、テレビのインタビューで男泣きした。

 2016年5月の夏場所で左アキレス腱(けん)を断裂。次の名古屋場所は全休を余儀なくされ、12年ぶりに幕内から転落。引退が頭をよぎったという。

 稽古を再開した当初は患部の痛みを恐れ、土俵を避けていた。師匠の伊勢ケ浜親方(つがる市出身、元横綱旭富士)は「相撲勘が鈍る」と土俵に入るよう助言。幕下以下の力士を相手に稽古量を増やし、十両下位から幕内を目指した。

 大きく負け越せば、関取の座を失う番付。押し込まれると思うように相撲を取れず、もどかしさが募ったが、献身的に支えてくれる妻、白星を楽しみにしている子供たちのために気力を奮い立たせ、見事、幕内復帰を果たした。

 関脇の経験もある実力者。横綱に勝っても涙を見せたことはなかったが、昨年の九州場所では「心配してくれた家族や応援してくれた人たちの顔が浮かんだら、こらえきれなくなった」。一緒に戦った家族のありがたさが身に染みた。

 前頭10枚目に番付を上げた1月の初場所は、古傷の右膝を痛めて途中休場。10日目に土俵に戻って幕内通算出場は1379回となり、寺尾を抜き歴代4位となったが、けがの影響で本来の調子は取り戻せなかった。

 それでも千秋楽は若手の成長株を相手に執念の3勝目。かつて主戦場だった幕内後半の土俵で、盛大な拍手を浴びた大ベテランは「ここでまた相撲を取りたい」。気持ちはもう来場所を向いている。

◆東奥スポーツ賞

愛媛国体サッカー成年男子決勝・ゴール前で相手DF陣と激しく交錯するラインメール青森の選手たち(白いユニホーム)=2017年10月、松山市
ラインメール青森FC ― 国体無失点 初優勝

 愛媛国体サッカー成年男子に青森県代表として単独チームで出場し、県勢として初優勝。初戦から決勝までの4試合で8得点、失点はゼロ。若手主体だったが、持ち味の堅守を武器に、JFLチームの底力を見せつけた。1回戦は北海道(十勝FC)に3-0で快勝。続く準々決勝は、同じJFL勢の奈良(奈良クラブ)を1-0で退け、準決勝は大学生主体の石川(選抜)を3-0で破り、危なげなく決勝に進出した。

 決勝の相手は、JFLでしのぎを削り、互いに手の内を知る地元・愛媛(FC今治)。完全なアウェー状況だったが、2トップ布陣で臨み、積極的に前線で仕掛け続けた。後半5分、ペナルティーエリア内に入ったMF水木将人選手のロングスローを、相手DFに競り勝ったFW横野純貴選手が頭で合わせゴール。厳しいプレスで愛媛の反撃を封じ、1-0で勝利を収めた。

 主将を務めた水木選手は「若手中心で戦い、無失点優勝の価値は大きい」。国体制覇の勢いに乗り、JFLの年間通算成績も2位と躍進。目標のJリーグ昇格へ着実に歩を進めている。

愛媛国体自転車男子チームスプリント決勝・大会記録を更新して優勝を飾った青森県の(左から)磯島、小原、坂本の3選手=2017年10月、松山市
チームスプリント青森県チーム ― 走り圧巻 国体初V

 愛媛国体自転車男子チームスプリントで初優勝を飾ったチームは、青森県の自転車競技史に新たな1ページを加えた。

 メンバーは走者順に磯島成介(八戸工3年)、小原佑太(朝日大4年)、坂本紘規(日大3年)と、控えの三浦康崇(吉田産業)の4選手。高校、大学でトップレベルの1キロスプリント記録を持つ実力者がそろい、必然ともいえる勝利だった。

 初日の予選は大会記録を上回る1分14秒921で通過、翌日の決勝ではさらに1分14秒602と前日のタイムを更新した。2日連続で見せた圧巻の走りに、他チームから「青森、強すぎる」と驚嘆の声が上がったほど。

 国体では個人より団体での入賞が高得点を獲得できるため、メンバーは勝負に勝つことを優先させたという。チーム最年長の小原選手が「いつも通りの力を出せば勝てる」と語ったように、それぞれが自信を持ってペダルを踏み、他の追随を許さなかった。

 表彰台の一番高い場所に立っても、メンバーに浮かれた様子はなかった。「年齢は違っても、お互いに実力を認め合っている」と小原選手。競技者として切磋琢磨(せっさたくま)するメンバーのレベルの高さが際立った。

デフリンピック・陸上男子400メートルリレーで金メダルを獲得、喜びを爆発させる佐々木選手(左端)ら日本チームのメンバー=2017年7月、トルコ(一般財団法人全日本ろうあ連盟提供)
聴覚障害陸上400メートルリレー佐々木琢磨選手 ― 日本初の「金」に貢献

 2017年7月、トルコ・サムスンで開かれた聴覚障害者の国際総合スポーツ大会「デフリンピック」の陸上男子400メートルリレーに日本チームのメンバーとして出場。決勝で41秒66の日本ろう新記録をマークし、ウクライナ、中国などのライバルチームを抑え、同種目で日本初となる金メダルを獲得した。

 チームではアンカー(4走)。3走までウクライナにわずかにリードを許しながらも、スムーズなバトンパスからウクライナ選手を追い抜き逆転、ゴールを切った。同大会では100メートルにも出場したが、11秒30で7位だった。

 八戸聾学校時代に競技を始めた。スタート、瞬発力に自信を持ち、100メートル10秒75の日本ろう記録を保持。15年のアジア太平洋ろうあ者大会100メートル優勝、16年の世界ろう者陸上大会同4位、15、16年の日本聴覚障害者大会同2連覇など実績を持つ。

 現在は勤務先の仙台大で連日トレーニングに打ち込む。目標は4年後のデフリンピック100メートル優勝、10秒台前半の世界ろう新記録樹立、健常者のトップ選手に勝つこと。そして9秒台を出すことが夢だ。

◆東奥スポーツ功労賞

青森県で29年ぶりとなるプロ野球1軍戦が弘前市で開催されることが決まり、記者会見であいさつする水木さん=2016年11月、弘前市役所
弘前市野球協会会長 水木厚美さん ― 青森県野球振興に尽力

 昨年6月28日、弘前市のはるか夢球場で行われた、青森県で29年ぶりとなるプロ野球1軍公式戦・楽天-オリックス。「子どもたちに、身近な球場で家族と一緒にプロ野球を観戦してほしい」。地元の市野球協会会長として、市や商工会議所などと連携。積極的な誘致活動を展開し、実現に向けて奔走した。

 1軍戦開催に必要な球場改修を含め、地元関係者の熱意が、主催者・楽天野球団を前向きにさせた。試合は満員の1万3227人が詰め掛け大成功。今年7月3日、楽天-ソフトバンクの1軍戦が再び開催されることが決まり「最高の組み合わせ。非常に楽しみ」と期待を込める。

 大鰐町生まれ。小学生から野球を始め、弘前高-明大でプレーした。指導者の道に進み、弘前高、大鰐高で約30年にわたって硬式野球部の監督・部長。1971(昭和46)年には、弘前高を率いて春の選抜大会に出場、甲子園の土を踏んだ。その後、県高野連会長も務め、競技振興に尽力した。

 市野球協会会長を務めて20年近く。「多くの市民、県民に野球の楽しさ、面白さを味わってほしい」。情熱は今も冷めない。