• 2018年6月4日(月)

森友学園決裁文書改ざん問題の調査報告書詳報

 森友学園を巡る決裁文書改ざん問題で財務省がまとめた調査報告書の詳報は次の通り。

 【はじめに】

 決裁を経た行政文書を改ざんし、国会などに提出することはあってはならず、誠に遺憾。

真摯 (しんし) に反省し、二度とこうしたことが起こらないよう全省を挙げて取り組む。

 

 【調査経緯】

 財務省は3月12日に理財局で決裁文書の改ざんが行われていたと公表。職員からの聞き取りなどの調査で2017年2月下旬から4月にかけて貸付決議書(1)(文書1)、貸付決議書(2)(文書2)、売払決議書(文書3)、特例承認の決裁文書(1)(文書4)、特例承認の決裁文書(2)(文書5)の5件の文書改ざんを含め、計14件の改ざんを確認した。

 【背景事情】

 (1)関係部局

 国有財産行政は理財局が所掌。事務方の最終責任者は理財局長。森友については理財局職員が対応。

 (2)案件の概略

 大阪府豊中市の国有地は大阪国際空港周辺の騒音対策として国が買い受けた。近畿財務局は13年6月に国有地売り払いについて、受け付けを開始。森友から小学校用地として経営が安定するまで借り受け、その後買い受けたいとの要望があった。近畿財務局は理財局と相談し、10年間の事業用定期借地契約などで貸し付けると決定。森友は15年2月4日、理財局に文書4で申請し、理財局は4月30日に文書5で承認した。

 16年3月、森友側から大量の地下埋設物が発見されたと連絡。近畿財務局は最終的に不動産鑑定評価による更地価格から地下埋設物の撤去費用を差し引いて売り払うこととし、6月14日に文書3で決議。6月20日に売買契約を締結した。

 (3)17年以降の状況

 売買契約後、豊中市議会議員や国会議員、報道機関が資料などを要求。理財局の国有財産審理室は報道が出る可能性を意識し17年2月初旬、理財局長に概要を説明した。

 2月9日の「名誉校長は首相の妻」との報道以降、国会関係の対応に追われ、理財局は2月13日財務相に経緯を説明。2月17日、首相が本人や妻が国有地払い下げに一切関わっていないと答弁。

 国会議員団が2月21日に国有地を視察。理財局長以下で議論し、財務省職員が視察前の2月20日に森友の顧問弁護士に理事長は出張で不在だと説明するよう求めたほか「撤去費用は相当かかった気がする、トラック何千台も走った気がする」との言い方を提案。視察には理事長も顧問弁護士も同席しなかった。

 理財局と国土交通省航空局は2月22日、価格算定は適正であり、首相夫人付や政治家関係者からの照会への回答も特段問題となるものでないことを官房長官に説明した。

 【応接録廃棄の経緯】

 (1)応接録の元々の保存状況

 森友案件に関する応接録は作成時点で「1年未満保存(事案終了まで)」と定められていたが、保存期間について認識は統一されていなかった。

 (2)政治家関係者との応接録廃棄の経緯

 理財局総務課長は国有財産審理室長に対して政治家関係者からの照会状況に絞り込んだリストを作成するよう指示し、理財局長に報告した。近畿財務局は、理財局からの指示で応接録として存在が確認されたものを廃棄。理財局でも廃棄を進めたが、電子ファイルは破棄されずに一部は残された。

 (3)森友側との応接録廃棄の経緯

 森友との応接録の存否について2月24日の衆院予算委員会で理財局長は「近畿財務局と森友との交渉記録はない」と答弁したが、総務課長と国有財産審理室長は応接録が実際は残っていることを認識していた。

 答弁後、理財局長が総務課長に文書管理の徹底を念押し。総務課長からの伝達を受けた近畿財務局の管財部長は部内に適切な文書管理を行うよう周知した。保存期間が終了した応接録は、紙媒体や電子ファイルで保存されていたものも廃棄された。

 (4)廃棄されなかった応接録の取り扱い

 理財局や近畿財務局の一部職員は、応接録が全ては廃棄されず保存されたままとなっている状況を認識していたが、会計検査院の求めに存在しないとの回答を続け、情報公開請求にも「文書不存在」を理由に不開示を決定。

 (5)売買契約締結後に作成された応接録の取り扱い

 (略)

 【決裁文書の改ざんなどの経緯】

 (1)決裁文書の元々の作成・管理状況

 森友案件にかかる決裁文書のうち理財局が作成したのは文書5のみで15年4月30日、システムで電子決裁が完了している。残る文書は近畿財務局で作成され、紙媒体で決裁が行われ保存。

 (2)文書4、文書5の改ざんの経緯

 近畿財務局及び国有財産審理室長が対応した17年2月21日の国会議員団との面会で文書4などにおける政治家関係者に関する記載の取り扱いが問題となり得ることを認識。その後、国有財産審理室長が総務課長に対し、文書5にも政治家関係者からの照会状況に関する記載があると問題提起。両者から理財局長に対して報告された。理財局長はそうした記載のある文書を外に出すべきではなく最低限の記載とすべきだと反応。総務課長及び国有財産審理室長は記載を直す必要があると認識した。

 文書5については2月26日に国有財産審理室長及び配下の職員が政治家関係者からの照会状況が記載された経緯を削除するなどの具体的な作業を行った。文書4については2月26日、理財局から近畿財務局の管財部職員に出勤を要請した上で国有財産審理室の職員が書き換えを行うように具体的に指示をした。

 (3)文書1、文書3の改ざんの経緯

 理財局では決裁文書の公表を求められ、国会での質問材料になりかねないとの認識を共有。このため2月27日に国有財産企画課及び国有財産審理室が理財局長に対して文書3の内容を報告した。理財局長はこのままでは外に出せないと反応したため、職員の間では記載を直すことになるとの認識が改めて共有された。

 また理財局長から総務課長及び国有財産企画課長に対し、担当者に任せるのではなくしっかりと見るようにと指示した。

 3月7日未明、国有財産審理室の職員から近畿財務局に対して文書1や文書3の書き換え案が送付された。その後、貸付契約までの経緯の記述を全て削除するほか、国交省大阪航空局の対応状況を削除するなどのさらなる書き換え案が近畿財務局に示された。

 近畿財務局の統括国有財産管理官の配下職員は改ざんを行うことへの強い抵抗感から理財局からの度重なる指示に強く反発。理財局の総務課長と近畿財務局の管財部長との間で相談がなされ、この配下職員をこれ以上関与させないことにした。

 理財局では文書3の書き換え内容について3月20日に改めて議論。その際、理財局長から2月から3月にかけて積み重ねてきた国会答弁を踏まえた内容とするよう念押しがあった。この時点までには理財局長も文書の書き換えが行われていることを認識していた。

 4月上旬、近畿財務局側に強い抵抗感があると理財局長に報告された。理財局長は書き換えは行う必要があると反応。総務課長から国有財産審理室長及び近畿財務局の管財部長に対して最低限、政治家関係者からの照会状況と、それまでの国会答弁との関係が問題になりかねない箇所については書き換えが必要であると伝えられた。

 (4)その他の決裁文書の改ざんの経緯

 一連の改ざん作業の過程で理財局長まで相談があった決裁文書は文書1、3であり、事後的に報告されたのは文書4、5。残る文書は総務課長も十分認識しておらず上記文書との整合性を確保するため国有財産審理室長及び配下の職員によって作業が進められた。

 (5)大阪航空局と共有していた決裁文書の取り扱い

 4月下旬、国交省航空局から会計検査院に資料を提出するとの連絡があり、理財局国有財産審理室の職員が国交省に出向いて、決裁文書を差し替えた。しかし国交省は別途準備していた資料を提出し、両省は内容の異なる文書を提出した。

 (6)改ざん後の決裁文書の取り扱い

 理財局では7月、理財局長が交代するなど定期人事異動があったが新たに転入してきた幹部職員に対して文書改ざんは説明されなかった。

 【一連の問題行為の総括】

 (1)一連の問題行為の目的

 応接録廃棄や決裁文書改ざんは、国会審議で森友案件が大きく取り上げられる中でさらなる質問につながる材料を極力少なくすることが主な目的だった。政治家関係者からの照会状況や森友との交渉状況に関する応接録は廃棄されずに残っているものもあったが、理財局長は存否を確認せず、他の幹部職員も国会審議が紛糾することを懸念して保存期間終了後のものは廃棄していると説明した。

 理財局幹部職員は国会審議が紛糾すると懸念し、回避する目的で改ざんを進めた。理財局長は2月下旬以降、国会議員からの資料要求への対応に関する配下職員からの相談に対して、国会審議をさらに紛糾させかねない対応は避けるべきであり、提出する前に中身をよく精査すべきと指示していた。理財局次長らはちゅうちょがないわけではなかったが、改ざん後の文書も本質的な内容は変わらないと考えたことなどから改ざん作業を止めなかった。

 近畿財務局は改ざんに多くの職員が反発していたが、管財部長や管財部次長の判断で理財局の立場をおもんぱかって協力した。

 (2)一連の問題行為の評価

 国会への対応として決裁文書を改ざんし、提出したことはあってはならず、行政府における文書管理のあり方としても不適切だった。国会審議で応接録の存否が問題になった後に廃棄を進め、存在しないと回答したことは不適切だった。

 (3)理財局における責任の所在の明確化

 一連の問題行為は財務相や事務次官に一切報告されないまま、国有財産行政の責任者の理財局長が方向性を決定付けた。その下で総務課長が関係者に方針を伝達するなど中核的な役割を担い、国有財産企画課長、国有財産審理室長が深く関与した。(処分は)当時の理財局長「停職3カ月相当」当時の理財局次長「戒告」総務課長「停職1カ月」当時の総務課職員「口頭厳重注意」当時の国有財産企画課長「減給20%3カ月」当時の国有財産企画課職員2人「口頭厳重注意」当時の国有財産審理室長「減給20%2カ月」配下の国有財産審理室職員「戒告」別の当時の国有財産審理室職員「文書厳重注意」。

 (4)近畿財務局における責任の所在の明確化

 近畿財務局長「戒告」管財部長「戒告」管財部次長「戒告」当時の統括国有財産管理官「口頭厳重注意」。当時の配下職員は理財局からの指示に明確に反発して幹部職員に相談していた経緯を踏まえ、責任は問わない。別の当時の統括国有財産管理官と配下職員「職務上の注意」。

 (5)現在の理財局の幹部職員の責任

 現在の理財局長「文書厳重注意」現在の理財局次長「口頭厳重注意」。

 (6)理財局職員・近畿財務局職員以外の責任

 当時の事務次官「減給10%1カ月相当」当時の官房長「文書厳重注意」。

 【その他の決裁文書に関する調査】

 (1)~(3)略

 【再発防止に向けた取り組み】

 (1)国有財産の管理処分手続きの見直し

 (略)

 (2)公文書管理の徹底、電子決裁への移行加速化

 今後研修を通じて職員に公文書管理の新ガイドラインの周知徹底や確実な実施を図る。電子化されていない決裁は電子決裁を原則とすべく業務フローを見直す。決裁完了後の文書は事後的な検証が可能となるよう、修正などが必要な場合には決裁を取り直すことを原則とするなどルールの見直しを検討する。

 (3)コンプライアンス、内部統制の総合的な態勢整備

 時代にふさわしい財務省の仕事のやり方や価値観の持ち方について総ざらいし、必要な取り組みを進める。

(共同通信社)