済州×青森 地域の逸品

 「地域の逸品」第6回のテーマは、特産果樹の魅力凝縮。青森からは、全国ナンバーワンの生産量を誇るリンゴのおいしさを詰め込んだ県農村工業農業協同組合連合会(アオレン、弘前市)の「密閉搾り」ジュース2品。従来にない独自製法で風味豊かに仕上げたジュースは、台湾、香港など海外にも販路が広がっている。東洋のハワイとも呼ばれる済州からは、温暖な気候に育まれたミカンの爽やかな香りが楽しめるお菓子2品。伝統的な製法に特産品の魅力を加えた揚げ菓子とゼリーは、韓国有数のリゾート地ならではのお土産としても好評だという。今回紹介する済州のお菓子は、Web東奥の専用サイト「あおもり×済州」で購入申し込みができる。

 

「メイドイン済州」製品の購入申込はこちら

【6】特産果樹の魅力凝縮

【6】特産果樹の魅力凝縮

2018.11.30

爽やかな香りが楽しめる「サムダトゥル・みかんクァジュル」(写真右)と、かわいらしいトルハルバンの形をした「済州みかんビタゼリー」

 

▼地域色豊かな人気土産/ミカンのお菓子

 済州道の道庁所在地である済州市の食品加工会社「メイドイン済州」は2008年から、ミカンなどの特産農産物を使った加工品を製造している。シン・ソクジョン代表(58)は「済州道でとれる農水産物を利用して加工食品を作れば、さまざまな商品として販売できる。それが、農家の所得向上や地域の雇用創出に少しでも役に立つのではないかと考えたのです」と設立の経緯を説明する。

 加工品作りに向けて、メイドイン済州は、まずミカン製品の加工原料に使う粉末の製造を始めた。これをベースにして、済州で無農薬栽培されるミカンや道内に自生するサボテンの一種「百年草」の実、生薬としても使われる多年草・ボウフウ(防風)などを原料にしたクッキー、ゼリー、クァジュルなどのお菓子を製造している。

 クァジュルというのは、韓国の伝統的なお菓子のこと。小麦粉を水でこねて油で揚げてから、穀物を麦芽発酵させて煮詰めた水あめ(チョチョン)を塗り、揚げたおコメをまぶして出来上がりとなる。

 メイドイン済州の製品の中で、昨年11月から相次いで発売された「済州みかんビタゼリー」と「サムダトゥル・みかんクァジュル」は、島内の観光地施設などで流通している新商品。済州ならではの製品に仕上げるため、どちらも自社製造のミカン粉末を生かしている。済州みかんビタゼリーはデザインにもこだわった。島内各地にある石の守り神「トルハルバン」の形をしているので、子どもたちにも人気だという。

 工場長兼副社長を務めているシン・ソンテさん(45)によれば、トルハルバン形のゼリーを作っているのは道内でメイドイン済州だけ。「みかんクァジュルの方は、製造してすぐに1個ずつ包装しているのでミカンの風味と香りをたっぷり楽しめます。お土産用として旅行客にも好評ですよ」と話す。

 メイドイン済州は、中国・上海で今月開かれた博覧会への出展企業として韓国中小企業振興公団から選ばれ、博覧会では特産ミカンを生かした加工品が高い評価を受けた。

 同社は今後も新商品開発を積極的に進めることにしている。年明けには済州産のミカン、緑茶、菜の花、百年草、デコポンなどの有機農産物、天然素材を原料にした「漢拏(ハンラ)山パン」を発売するという。(チェ・ヘウォン)

【写真右上】メイドイン済州のシン・ソクジョン代表【写真左上】丁寧な手作業で行われる「みかんクァジュル」づくり【写真下】出来上がった製品を袋詰めする従業員

▼爽やかな香りが魅力

 クァジュルは、おコメや小麦粉、木の実などを材料に、蜂蜜・水あめを加えて固めたり、油で揚げたりする韓国の伝統的なお菓子「韓菓」(ハングァ)の一つだ。

 メイドイン済州が製造・販売する「サムダトゥル・みかんクァジュル」は、カリッと揚げた小麦菓子の香ばしさと、水あめ(チョチョン)からほんのり漂うミカンの爽やかさがマッチしている。サクッと柔らかく、歯にくっつかないので食べやすい。

 みかんクァジュルの主な原料は、韓国産の小麦とコメ。それに済州特産のミカンを使った自社製粉末を加えるのが大きな特徴。クァジュルの生地をつくり上げるところから、揚げたコメをまぶすところまで、すべて手作業で行われ、製品には化学合成添加物を一切使用していない。

 済州名物の石の守り神・トルハルバンの形をした「済州みかんビタゼリー」も、主原料には済州産ミカンをたっぷり使っている。パッケージを開けた瞬間、さらにゼリーを口に含んだときに、ミカンの爽やかな香りが広がる。

 ビタゼリーは柔らかく、独特の弾力ある食感が魅力。おやつのほか、ビールなどのおつまみにもぴったりなので、子どもから大人まで楽しめる。手軽に持ち歩けるよう、ポケットに入る大きさに1個ずつ包装されている。

密閉搾りで仕上げたアオレンの「旬の林檎」と「密閉搾り・ねぶた」

 

▼旬の風味 国内外に発信/「密閉搾り」リンゴジュース

 津軽の秀峰・岩木山の頂がうっすら雪化粧するころ、麓のリンゴ園では主力品種「ふじ」が収穫最盛期を迎える。朝晩の冷え込みが増すにつれリンゴは糖度を増し、甘味と酸味のバランスが整う。その旬のおいしさを、ぎゅっと詰め込んだのが、アオレン自慢の密閉搾りジュースだ。

 装置内を密閉し無酸素状態でリンゴをすり下ろしながら搾ることで、原料の酸化を抑えるのが密閉搾り。酸化防止剤などの添加物を加えなくても、旬の風味豊かなジュースができる。2010年に製法特許を取得したアオレンの新谷孝義営業課長は「日本一のリンゴ生産量を誇る県内でも、こうした製造ラインを持つ施設は他にありません」と胸を張る。

 県内農協などの出資で1971年に設立されたアオレンには、毎年リンゴの収穫時期になると1トンサイズの巨大なコンテナに入った品種別の加工用原料が続々と入荷し、山積みされる。

 アオレンが製造・販売するジュースは27種類あり、このうち10種が密閉搾り。最もポピュラーな「ねぶた」は青森を代表するダイナミックな夏祭りをデザインしたパッケージで、お土産品にもぴったり。また「旬の林檎」は、密閉搾りの原料に王林、ふじだけを使い、搾りたてをそのまま詰め込んだ数量限定版で、日本農林規格の中でも特別な生産や製造方法であることを示す特定JAS商品「りんごストレートピュアジュース」として初認定を受けた看板アイテムだ。

 こうした高品質なジュース作りを支えているのが、アオレンの最新製造設備。食品衛生管理の手続きを定めた国際基準「HACCP(ハサップ)」に適応した第1製造工場(11年完成)と、第2製造工場(17年完成)を合わせたリンゴ搾汁能力は1日250トンと国内最大規模を誇る。

 高度な食品安全マネジメントシステムの国際規格・FSSC22000の認証も受け、台湾や香港、タイなど海外へも積極的に販路を拡大。13年に150トン規模だった輸出量は、その後の3年間で300トンを超えるまでに増えた。

 アオレンは、韓国向けの販売にも近く本格的に乗り出す。葛西亨之参事は「リンゴ以外の果実・野菜の加工にも施設をフル活用して、青森県にはおいしい農産物がたくさんあることを国内外に発信していきたい」と意欲を語った。

【写真左上】衛生管理が行き届いた製造ラインで商品をチェックする作業員【写真右上】販路拡大への抱負を語る葛西参事【写真左下】岩木山(中央奥)を望む弘前市内の園地で赤く色づいたリンゴ【写真右下】「積み上げられたコンテナにはリンゴが1トンずつ入っています」と話す新谷課長

▼プレミアム感で勝負

 いつでも、どこでも、手軽に同じ味が楽しめるのが缶入りジュース。と思っていたら、密閉搾り「旬の林檎」は、このイメージとちょっと違うようだ。リンゴの旬の時期にストレート果汁を充填(じゅうてん)することで生まれる年産ごとの微妙な味わいの違いを、アオレン担当者は「ワインの新酒と同じ。リンゴジュースのヌーボーです」と表現する。

 リンゴを使った飲み物の歴史は古く、欧米では果汁を発酵させたシードル(cider)が代表的な飲料として親しまれている。現在のジュース作りでは、果汁にビタミンCなどの酸化防止剤を加えて濃縮し、缶やボトルに詰める前に香料や水を加える濃縮還元タイプが一般的。同じ味や香りのジュースを大量生産できるというメリットがあるからだ。

 一方、「旬の林檎」は、こうした商品との差別化を図るため、プレミアム感のある製法にこだわった商品だ。原料に王林、ふじの2品種だけを使い、最も風味豊かな晩秋から冬にかけて搾ったストレート果汁を、そのまま缶に詰めて出荷している。

 日本から輸出されるリンゴ生果の9割以上は本県産。アオレンの新谷孝義営業課長は「輸出品の端境期にも『旬の林檎』なら青森リンゴの魅力を味わってもらえる。海外にも、さらに販路を広げたい」と話す。

 実りの秋、日本一のリンゴ産地、青森県内では大きく熟したふじをはじめとしたさまざまな品種のリンゴが枝をしならせている。一方、日本の九州北部などとほぼ同緯度に位置する温暖な済州では、各所に植えられた木に、ミカンなど、柑橘(かんきつ)系のオレンジ色の実がたわわ。両地域を代表する農産物、リンゴとミカンは、地域の一大スポーツイベント・マラソン大会名にも使われており、多くの住民に親しまれている。今回は、この代表的産物を使った菓子類を紹介する。

 

柑橘系チョコ・クランチの購入申込はこちら

【5】代表的産物を使った菓子

【5】代表的産物を使った菓子

2018.10.26

【左上】百年草クランチ【右上】ミカンチョコレート 【左下】漢拏峰クランチ【右下】百年草チョコレート

 

▼衛生面徹底的に管理/柑橘類のチョコ、クランチ

 多くの観光地と同様に、済州でも地域の特色を打ち出した商品開発を行っており、地域の名産品のミカンなど、柑橘類を活用した加工品製造に力を注いでいる。エバーグリーン社はその一つで、ホン・ソンウ代表が2012年に会社を設立し、加工品開発分野の事業に進出。チョコレートと柑橘類を組み合わせた商品の製造・販売を行っている。

 同社では、国際食品衛生規格のHACCP(ハサップ)を導入。各原料の受け入れから製造、製品出荷までのすべての工程において、食中毒などの健康被害を引き起こす可能性のある危害要因(ハザード)を科学的根拠に基づいて管理。衛生的かつ高品質のチョコレート関連製品の生産に注力している。

 ホン代表は「済州産の原料を使うことで、地域経済の発展に寄与することはもちろん、清浄な地域のイメージをそのまま製品に入れ込むために努力している」と語る。

 その中でも一押しの商品が、ミカンと漢拏峰(ハルラボン)(日本のデコポン)、サボテンの一種で韓国では健康食品として知られている百年草で作ったチョコレートとクランチだ。

 チョコレートの製造は、厳選した原料を点検するところから始まる。チェックを通過した原料を加熱して溶かし、結晶組織を安定化させる温度調整の「テンパリング」の工程を経て、つややかで滑らかな口溶けのチョコレートに仕上げている。

 枠に入れて冷し固めたチョコレートは、硬さや形などを検査した上で、自動装置で一つ一つ包装し、18度の室温倉庫で保管し、出荷する。

 3種のチョコレート&クランチは、他社の類似商品も多くあるが、中でもエバーグリーンの認知度が高い。その理由についてホン代表は「清潔で衛生的な工程と個別包装」が大きいと言う。工場内でも消毒はもちろん、従業員の動線を表示するほど衛生面に神経を使っている。

 また、包装と販売で終わることなく、熱などによりチョコレートが溶けたり、クランチが湿ったりしないかをモニタリングするなど細かい部分までチェック。エバーグリーンは、3種セットに加え、栄養補助食品の「シリアルバー」の製造に関する特許を取ったり、みかんジャムパイなどのさまざまな製品を開発・販売したりとさまざまな商品開発に意欲的に取り組んでおり、済州観光の代表商品の製造企業として位置づけられている。(チョ・フンジュン)

【上】工場の内部、製品の包装をしている様子【左下】エバーグリーン社の外観【右下】エバーグリーン社のホン・ソンウ代表

▼食べやすく栄養豊富

 ビタミンCによる美肌効果をはじめ、栄養素がぎっしり詰まった女性にうれしい果物「ミカン」は、済州の代表的な産物として知られている。

 ミカンと同じ柑橘系で、1990年代から済州で栽培されている漢拏峰は、へたの部分が盛り上がっているのが特徴で、まるで、韓国最高峰で済州島のシンボルとなっている漢拏山のような形。新陳代謝を促し、皮膚や粘膜を丈夫にしてくれるという。また、済州に自生する百年草は、気管支喘息(ぜんそく)や百日咳(ぜき)に優れた効果があるといい、便秘などにも効くという。

 3種のチョコレートは、これらの産物を粉末にし、チョコレートなどをかけた製品で、甘くまろやかな味に加え、栄養が豊富と言える。通常のチョコレートより、フルーツなどの味を加えたチョコレートの加工品の人気は高く、ミカン、漢拏峰、百年草の香りと味が独特の風味を醸し出している。

 3種のクランチは、甘いものがあまり得意ではない人にも人気があり、一口で食べるのにちょうどいい大きさ。甘すぎず、柔らかく、サクサクした食感も良く、冷蔵庫などで冷やしてから食べるのもお勧めだ。

【写真左】気になるリンゴ【写真右】パティシエのリンゴスティック

 

▼リンゴの商品次々と/「ラグノオ」の銘菓

 弘前市境関、清潔に保たれた工場の生産ラインで、職員が手際よくパイ生地に卵液を塗っていく。トンネルオーブンでじっくりと火が通され、コンガリおいしそうな焼き色が付いた「パティシエのリンゴスティック」が次々に出てきた。ここで、「ラグノオささき」(木村公保社長)で10年以上のロングセラーとなっている人気商品のリンゴスティックや「気になるリンゴ」がつくられている。

 ラグノオささきは1884(明治17)年、同市百石町で創業した。最初は小さな「もち屋」でスタート、初代の佐々木繁蔵(しげぞう)の主なお客さまは、近所の小さな子どもたちだった。店先で行われる、もちつきの音に誘われて、店先に群がる子どもたちの笑顔が、商売の原点だ。

 その後、「銘菓のささき」を経て「ラグノオ」という、17世紀のパリで人気の菓子職人兼レストランオーナーの名前をブランド名に冠する。1962(昭和37)年からチェーン化を進め、1店舗から始まった店は今や、国内90店舗以上にまで増えた。

 同店で長く主力商品だったのは、1970(昭和45)年に販売を始めた「茶屋の餅」。今も人気があり、間もなく販売から半世紀を迎える。同社が地元のリンゴにこだわりを強めたのは1986(昭和61)年、津軽地方を舞台に描いたNHKの大河ドラマ「いのち」にちなんで開発した、りんごジャムとカスタードクリーム入りのスポンジケーキ「いのち」から。同商品が大ヒットとなったことで、同社は地元のリンゴにこだわった商品を次々に発売するようになる。気になるリンゴは1987(同62)年、リンゴスティックは2004(平成16)年に販売を始め、土産物の定番となった。

 同社の主力商品に劣らず、生産工場のパート従業員も勤務歴が長い。入社24年目の小島新一工場長は「私の社歴より長いんですよ」と笑いつつ「誰もケガ無く一日が終わるとホッとします。安全、安心な商品をたくさんのお客さまにお届けしたい」と語る。

 木村社長は「青森と言えば『リンゴ』。おいしい県産リンゴの風味をできるだけ残す加工方法で商品を開発、販売してきた。これからもいろいろなアイデアを出して、買ってもらえる商品作りをしていきたい」と社の将来展望を語っている。

【写真左】パティシエのリンゴスティックの製作工程【写真右上】ラグノオささきの小島・境関工場長【写真右下】弘前市境関にあるラグノオささきの工場

▼温冷 どちらでもOK

 青森県産リンゴ1個を丸ごとパイ生地で包んで焼き上げた「気になるリンゴ」、2013年の第26回全国菓子大博覧会で金賞を受賞した「パティシエのりんごスティック」はともに、ロングセラー商品。気になるリンゴは切り分けて、リンゴスティックは、気軽に片手で食べることができる。いずれも、特徴はシャキッとしたリンゴの歯ごたえ。通常のアップルパイは、煮つぶしたリンゴを使うことが多いが、両商品は独自製法で、特に「気になるリンゴ」は皮ごとシロップに1カ月以上つけ、そのまま丸ごとパイ生地に包んで焼き上げている。

 気になるリンゴは芯をくりぬき、そこにリンゴの果肉とスポンジ生地、パイクラム(パイ生地を崩したもの)を詰める。外側のパイ生地は、リンゴの果肉に密着させるため「練りパイ」を使用、葉っぱの形に切り抜いたパイ生地を遊び心で載せている。リンゴスティックは、スポンジ生地の上に大きめにきざんだリンゴの果肉を載せ、パイ生地で包み焼き上げている。

 いずれも、スポンジ生地が水分調整の役割をするなど、パイ生地の食感を損なわない工夫が盛り込まれており、ラグノオファンの消費者は、食べる際に温めたり冷やしたり、アイスクリームなどを添えたりと、それぞれの食べ方を楽しんでいるという。

「地域の逸品」第4回のテーマは、豊かな大地の恵み。青森からは、日本一の生産量を誇る地元産ゴボウを原料にしたGrowth(グロウス、三沢市)のファッショナブルな飲み物「ごぼう茶」の魅力を取り上げる。ゴボウは鍋物やサラダの食材としておなじみの野菜だが、青果物としての出荷規格サイズに合わないものを飲用に加工し、独特の香りと味わいが評判を呼んでいる。済州からは、カブによく似た根菜「レッドビート」の加工品が登場。こちらも、健康面の機能が豊富な食品・飲料として注目を浴び、ダイエット中の若い女性にも人気だという。

済州産レッドビート加工品の購入申込はこちら

【4】豊かな大地の恵み

【4】豊かな大地の恵み

2018.9.28

健康的なおやつ、飲み物として楽しめる済州産・乾燥レッドビート

▼スーパーフード 手軽に/乾燥レッドビート
 済州特別自治道は、ミカンと並んで冬ダイコンが韓国で最も多く生産されている地域である。We&Me(ウィアンドミ)のイム・スホン代表は、このことに注目して根菜類を原料にした新たな特産品作りを考えていた。そんな中、機能性野菜であるレッドビートと出合い、これを乾燥させた健康食品「乾燥レッドビート」を考案した。
 レッドビートは、ダイコンと同じように気管支の調子を整え、便秘の解消、大腸の炎症の緩和、二日酔いの解消などに優れているとされる。さらに、より鉄分が豊富で、赤血球の生成、がんの治療や予防、血液循環などにも良い成分があることから「スーパーフード」の一つと呼ばれる。
 済州は、きれいな空気と土壌、豊富な降水量と日照量、亜熱帯の気候を持ち、レッドビートの原産地である欧州南部の地中海沿岸と環境が似ている。そのため、韓国でレッドビートを育てるには最適の環境といえる。
 済州の自然が育てたレッドビートから水分の90%を除いた製品が「乾燥レッドビート」だ。ウィアンドミで生産する乾燥レッドビートは、すべて手作業の工程を経て造られている。皮をむいた後、カットして一つ一つ丁寧に乾燥させることが特徴である。
 特に原料を乾燥させる過程で、レッドビートの効能をできるだけ残しながら、歯ごたえのある食感を守れたのは、ウィアンドミのノウハウによるところが大きい。乾燥のノウハウを習得するまでに2年間の研究を重ね、実用化するまでに、さらに6年にわたる時間が必要だったという。
 ウィアンドミのイム・スホン代表は最近、レッドビートを使った新たな商品販売にも挑戦している。半乾燥したレッドビートの串焼き、パイ、ミートボールなどを発売した。
 中でも、ソース味のレッドビートの串焼きは、タッカンジョン(韓国風唐揚げ)に似た味わいの、おいしい健康食品だ。このほか、レッドビートを粉末に加工したクッキーも試作している。
 乾燥レッドビートについて「生で食べるよりも深く、濃厚な香りを感じることができる」と話すイム代表。「さまざまな調理方法で簡単に楽しむことができるので、健康に関心のある中高年層はもちろん、若い女性の間でダイエット用のおやつとしても注目されています」と、需要の広がりにも期待する。 (チェ・へウォン)

乾燥レッドビート製品を袋詰めするウィアンドミの従業員
【写真左】ウィアンドミのイム・スホン代表【写真右】済州のきれいな空気と土壌で育てられたレッドビート

▼お茶、炭酸水、酒にも
 We&Me(ウィアンドミ)の乾燥レッドビートは、歯ごたえのいい食感が特徴で、健康的なおやつとして楽しめる。
 済州産の乾燥レッドビートを、サラダやピクルスのような料理の食材に使っても、おいしく味わえる。消費者からは、根菜特有の甘みと土の香りの相性が実に良いと好評だ。
 また、乾燥レッドビート3、4片を冷たい水やお湯に浸して5分ほど置いてから、お茶として飲むのもお勧め。炭酸水で割ったり、お酒に入れたりすると、紫の色合いとレッドビートの香りが目と舌を楽しませてくれる。
 このほか、乾燥レッドビートを使った飲用の商品には「今日の水・済州ピンク」もある。ダイエットをする人たち向けに、1日2リットルの水を無理なく飲み続けることができるよう、済州産レッドビートとチョンギュル(青ミカン)、ミカンを乾燥させた約1カ月分の商品で、特に20~30代の女性に人気がある。
 済州ピンクは、根菜であるレッドビートの栄養価に、済州のチョンギュルとミカンの爽やかさが加わっている。お湯に入れて2分ほど置いて飲むか、2リットルの水に入れて3時間以上置いて冷やして飲むと、おいしい。炭酸水の場合は、3時間以上置くと清涼飲料が出来上がる。

香ばしさと、まろやかな味が人気の「ごぼう茶」

▼製法繊細 甘さほんのり/ごぼう茶
 ごぼう茶の特長は、香ばしさと、ほんのりした甘さ。むくみや便秘、老化予防に効果があるとされる成分が含まれる一方で、カフェインや添加物が含まれていないため、お年寄りから子供まで、家庭で手軽に楽しめる。お湯出しのほか、暑い季節なら水出しもお勧め。ゴボウ生産が盛んな三沢市内の飲食店では、ごぼう茶の焼酎割りを出すところもある。
 同市で、ごぼう茶を製造・販売するGrowth(グロウス)は2011年に誕生した若い会社。都内のアパレル業界で働き、Uターンして農産物加工に参入した須藤勝利社長(41)は「規格外のゴボウをお茶に加工し、農家の収入アップにつなげたかった」と設立当時の思いを振り返る。
 本県の16年産ゴボウ出荷量は4万5900トンで全国1位、シェアは39%に上る。県内市町村では三沢市が最も多い。収穫物の中には太すぎたり、長すぎたりして市場へ出荷できない規格外サイズのゴボウがどうしても出てくる。これを、お茶に加工して全国に売ろうというのが、グロウスの取り組みだ。
 製造方法は、原料を薄く刻んで乾燥・焙煎(ばいせん)する極めてシンプルなものだが、ゴボウ特有の土臭さをいかに減らすかが味わいを左右するという。グロウスで現在、ごぼう茶作りを支えているのは全て女性。総務部リーダーの高村里美さん(26)は「おいしくするための詳しい調製法は企業秘密ですけど、原料の水分量や季節によって作り方を工夫しています。繊細さが必要なので、女性スタッフの方が向いているのかもしれませんね」と教えてくれた。
 ごぼう茶は飲み物として味わった後、食物繊維が豊富な食材として炊き込みご飯や炒め物、汁物などにも使える。一つの商品を2度味わってもらおうと、グロウスのインターネットサイト(http://aomori-growth.com/)では、ごぼう茶レシピも詳しく紹介している。
 グロウスは16年、全国各地の百貨店やネット販売での実績が認められ、国などが後援する「ふるさと名品オブ・ザイヤー」で地方創生賞を受賞した。須藤社長は「スーパーに置いているだけでは売れない。お客さんの雰囲気を感じて、商品の魅力を直接、言葉で伝えることで商品の認知度を上げていきたい」と、販路拡大に意欲的だ。

日本一の生産量を誇る三沢市のゴボウ畑
【写真左】乾燥、焙煎を終えた製品を袋詰めする女性スタッフ【写真右】ごぼう茶の売り込みで全国を駆け回る須藤社長

▼地域課題の解決に力
 お客さまを迎える時に出す飲み物といえば何? 緑茶やコーヒーという答えが多そうだが、三沢市役所の市長室では、ごぼう茶が出てくる。日本一の生産量を誇る特産品をアピールして、食の魅力を発信するのが狙い。意外性もあり、来訪者の反応は上々という。
 市長室のウエルカムドリンクに、Growth(グロウス)のごぼう茶が登場したのは2013年2月のこと。そのころ秘書課に勤務していた小泉厚子・産業政策課長は「地元産ゴボウを原料にしていることに加え、グロウスが地域社会への貢献でも高く評価されたことが理由です」と話す。
 グロウスは、ごぼう茶を製造・販売すると同時に、若者や女性、障害者の雇用創出、販路拡大やネット活用を推進。その取り組みが評価され、地域社会の課題解決に積極的な企業として13年に「東北ニュービジネス大賞 ソーシャルアントレプレナー大賞」にも選ばれた。
 米軍や自衛隊の戦闘機が飛び交う三沢は基地の街というイメージが強いが、ゴボウをはじめナガイモ、スルメイカなどの農水産物にも恵まれている。小泉さんは「ごぼう茶を味わった方々からは、香りが良くておいしいと好評です。健康志向にも対応した商品として、海外にも販路が広がることを願っています」と話す。

「地域の逸品」第3回のテーマは、受け継がれる手づくりの品。青森からは、世界自然遺産・白神山地を形成する、世界最大規模のブナ原生林を、資源として活用するため生み出された「ブナコ」。ひとつひとつ丁寧に手作りされている木工品は、従来の食器にとどまらず、洗練されたデザインを取り入れインテリアなどにも進化を続けている。一方、済州島から紹介するのは、韓国の3大銘酒として知られる伝統の焼酎「コソリ酒」と清酒「オメギマルグン酒」。昔ながらの手づくりを守る「済州コソリ酒が熟する家」では、4代にわたって伝統的製造手法を継承している。

「コソリ酒」「オメギマルグン酒」の購入申込はこちら

【3】受け継がれる手づくりの品

【3】受け継がれる手づくりの品

2018.8.31

コソリ酒(写真右)とオメギマルグン酒

 

▼昔ながらの製造法守る

 

 済州コソリ酒(済州焼酎)は、開城(ケソン)焼酎・安東(アンドン)焼酎とともに韓国の3大銘酒として知られる伝統的な民俗酒。17世紀、国の高等文官(官僚)の地位にある済州長官の李元鎭(イ・ウォンジン)が記した歴史書「耽羅志」でも「済州では焼酎をたくさん醸造している」という記述が確認できる。焼酎を造らない家はないというほど、コソリ酒は長年、済州の人々の生活と哀歓を共にしてきた伝統的な酒だ。

 

 この伝統酒の命脈を受け継いでいるのが、城邑民俗村にある「済州コソリ酒が熟する家」だ。同家のキム・ヒスク代表(59)は今も、ソジュッコリ(在来の焼酎蒸留器、済州方言で「コソリ」)を使用し、昔からの方法のままコソリ酒とオメギ酒(清酒)を製造している。

 

 オメギ酒はもち粟(あわ)を主原料とした醸造酒で、もち粟でつくったもちをゆで、それをへらでつぶして細かく砕いたヌルッ(麩(ふすま)を円盤状に押し固めたような麦のもち麹(こうじ))と混ぜ合わせて仕込む。コソリ酒はオメギ酒を蒸留したもの。酒造りの材料は済州の粟・麦・伝統麹のみを使用しており、コソリや酒を熟成・保管する陶器(壷(つぼ))まで、製造のすべての過程を、一つ一つ手作業で行うという、伝統方式を今も、原型のまま守っている。

 

 「済州コソリ酒が熟する家」は、済州道無形文化財に認定されたキム・ウルジョン氏(95)=2代目=に続き、キム・ヒスク代表(3代目)とカン・ハンセム一番弟子(4代目)にわたって、伝統酒の製法を引き継いでいる。このような伝統継承や、機械ではなく直接手で仕込む製造技術が認められ、1995年に「済州コソリ酒が熟する家」は済州道無形文化財とコソリ酒技能指定保有企業に選ばれ、今年は農村融複合産業認証と、農林畜産食品部(日本の農林水産省に当たる)が主催する「2018年訪ね行く醸造場」に選ばれた。

 

 キム代表は「コソリを使ってお酒を造るところは全国でもここが唯一」と説明し「一時伝統酒製造法が消える危機があったが、古い方式で酒を造ろうとするこだわりが、伝統を守る原動力になったと思う」と話した。さらに「済州焼酎の昔の名声を取り戻すことができるよう、伝統酒の製法教育と体験の機会を増やすために努力をしている最中です」と述べた。 (チョ・フンジュン)

 

伝統酒を受け継いでいる「済州コソリ酒が熟する家」は、4代にわたって伝統酒の製法を続けている
【写真左】釜の上にのせたコソリ。オメギ酒を発酵させてから釜に入れ、コソリ(ソジュッゴリ)を上にのせて沸騰させるとコソリの横の口からコソリ酒が出てくる【写真右】コソリ酒を造るキム・ヒスク代表

 

▼祭礼、もてなしに使用

 

 済州コソリ酒は、主に米作りを行う韓国本土とは違い、石だらけの荒れた農地を耕しながら行った畑作で生産された雑穀(粟(あわ)・麦)と小麦(麹(こうじ)=ふすま)が主原料で、他の添加物を一切入れずに醸し出した酒だ。

 

 済州の風俗・風土に根差した味と特色を持っており、一度に製造する量は多くなく、昔から祭礼用や大切なお客様のもてなしに使用されてきた。

 

 酒造は、粟を粉にしてから沸騰したお湯を注いでオメギ餅を作った後にゆでる。これをこね、麹と水で冷まして甕(かめ)(つぼ)に入れておく。

 

 長い発酵と低温熟成を経た後、酒甕から熟した酒の上澄みだけをすくい取った清酒のオメギ酒商品が「オメギマルグン酒」。アルコール度数は16度ほどで、味が濃厚で柔らかく、天然の果実香がする最高級の薬酒に挙げられている。

 

 オメギ酒を発酵させて鋳鉄釜に入れ、その上にコソリ(ソジュッゴリ)を置いて沸騰させると、コソリの横の口から酒が出てくる。これがコソリ酒だ。アルコール度数40~45度の焼酎で、深く香ばしく、かつ淡麗な味わいが特徴となっている。

【写真左】一般的な無垢材とは違った手触りと風合いを醸し出す直線的ラインが特徴の「Bowl」【写真右】曲面を生かしたティッシュボックスケース「SWING」

 

▼日用品から広がる用途

 

 世界自然遺産・白神山地を形成する豊かな森の主役・ブナの木は、百年単位の時間をかけて重く、硬く成長する。半面、反りや曲がりが大きく、加工に適さないとされ、かつてリンゴ箱や薪(まき)への利用が主だった。この木材活用法として1956年、青森県工業試験場が完成させたのが「BUNACO(ブナコ)」の技術だ。

 

 「ブナ」+「コ」の名称は、ブナの木をコイル状に巻くことや、語尾に「コ」を付ける津軽地方の方言に由来するという。曲げに強い性質を生かし、厚さ1ミリの板状にしたブナ材を乾燥させ、6~12ミリほどのテープ状にカットしコイル状に巻いて成形・加工。丸形だけでなく、角のある商品も製作可能な自由度が魅力で、通常の木工製品と比べ捨てる部分が少ない、環境に優しい商品でもある。

 

 「伝統工芸において、守るべきは技術」。倉田昌直社長の信念に基づき、「これをブナコで作ったらどうなるだろう」という好奇心を起点に、伝統技術が商品に次々魂を吹き込み、北欧製に劣らぬ機能美を兼ね備えたブナコ製品を生み出し続ける。伝統の台所まわりの日用品に加え、新たな分野のインテリア類も、デザイン性の高さから高い評価を国内外から得ている。

 

 ランプシェードは、美しい木目を生かしつつ、内側から光を当てると、暖かく、どこか神秘的な赤みを帯びた光を放つ。重厚なスツールも、実にいい音を奏でるオーディオのスピーカーも、すべてブナコでつくることができる。

 

 会社は1963年、「ブナコ漆器製造株式会社」として発足した。現在は「ブナコ株式会社」となり、弘前市に本社、ショールーム、西目屋村には移転で空いた小学校舎を活用した工場を置き製作を行っている。製作過程のほとんどは手作業。製品の出来を左右する、特に重要な「巻き工程」に始まり、成形・加工、接着、塗装、乾燥と、一つの商品が完成するまでには3週間ほどかかる。

 

 広報担当の秋田谷恵さんは、倉田社長が口癖のように言う「できないことはない」という姿勢が、インテリアという新事業分野開拓につながったと説明。同分野において重要な音や光に力を注ぎ「忙しいこの時代、家で好きなものに囲まれてくつろげる空間づくりに貢献したい」(同社長)と、新たな商品をどんどん送り出す考えだ。

 

【写真左】ブナのテープをコイル状に巻いてつくった板に湯飲み茶碗を押しつけ、一つ一つ手づくりで形を作り出していく 【写真右上】西目屋村にあるブナコ西目屋工場内にある展示・販売スペース【写真右下】移転のため空き校舎となった旧小学校施設を活用した西目屋村のブナコ工場

 

▼曲線は湯飲み茶碗で

 

 職人の手作業で生み出される、デザイン性の高いブナコの商品をつくる道具が、どこにでもありそうな市販の「湯飲み茶碗」だと聞いたら驚くだろうか。優美な曲線は、ブナのテープをコイル状に巻いてつくった平らな板に、熟練の職人が市販の湯飲み茶碗を押しつけて、少しずつ押し出すことで形づくられる。

 

 木の弱点を克服した「ブナコ」商品は、割れ、ゆがみがなく、気候風土の異なる海外でも安心して使える。2008年に日本で開催されたG8洞爺湖サミットでは、海外首脳への土産品としてブナコ製のトレーが贈られた。

 

 今回紹介する「Bowl」は、丸みを帯びたデザインのものがある中、あえて直線的なデザインのものを選んだ。コイルの段差が、一般的な無垢(むく)材とは違った手触りと風合いを醸し出し、耐水性に優れ、食品衛生上も安心なコーティングを施している。木製品のため、直火などで使うことはできないが、60度程度の熱であれば問題なく使用できる。

 

 一方、ティッシュボックス「SWING」は、ブナコ特有の丸みを帯びたデザインを生かしている。ティッシュペーパーを取り出すとユラユラと、そよ風に揺られるような柔らかいデザインが特徴となっている。

「地域の逸品」第2回のテーマは海産物の加工品。豊かな海に囲まれた両地域は古くから漁業が盛んで、豊富な水産資源を生かした加工品造りが行われてきた。済州を代表する海の幸には、かつて朝鮮王朝への献上品としても用いられた乾アワビ、本県には中華料理の高級食材として江戸期から重要な輸出品となってきた陸奥湾産ホタテガイの干し貝柱がある。

済州産パササク乾アワビの購入申込はこちら

【2】海産物加工品

【2】海産物加工品

2018.7.25

健康食材として若い世代にも人気の済州産パササク乾アワビ

▼独自の食感“パササク”
 済州産アワビは、古くから王の食膳に供える食べ物として貴ばれた。蒸しては干す工程を繰り返し、乾アワビにして献上したと伝えられている。今では、夏場の「保養食(スタミナ料理)」の一つとして、蒸し料理や粥(かゆ)、焼きものなど、さまざまなメニューの食材に利用される。
 済州産乾アワビを手掛ける業者の一つに大洋営魚組合法人がある。同法人のキム・ヨンス代表(61)は、「天恵鰒(チョンヘボク)」ブランドで、済州産原料を使った「パササク乾アワビ」「高麗人参アワビ醤」「アワビ丸」-など多彩な商品を提供している。
 ブランド開発の経緯を、キム代表は「虚弱体質の夫に毎日、済州産アワビを1~2個食べさせたところ、健康を取り戻すことができたから」と説明。「そのままのアワビだと生臭みもあり続けて食べにくい。そこで、簡単に食べられるように干して臭みを消し、商品化したのです」と話す。
 キム代表の法人では、アワビに含まれる味と栄養をそのまま生かすため、アワビの内臓を含めて丸ごと乾燥させる製法を採用している。内臓を傷つけないようアワビの殻を外すには、手間とノウハウが必要だが、そこにこだわりがあるのだという。殻を外し前処理したアワビは、1週間から10日間、蒸しては干す工程を繰り返してパササク乾アワビに生まれ変わる。
 「パササク」というのはサクサク、パリッとした食感を表す韓国の表現。乾アワビには、石のように硬いものも多いが、同法人ならではのノウハウで独自の食感に仕上げた。
パササク乾アワビの顧客は30~40代が中心。同法人は、主な流通ルートが天恵鰒のホームページを通じたネット販売であることや、健康に関心を持つ若い世代が増えてきたことが背景にあるとみている。
 同法人のキム・ジュンサン総括部長(49)は「30~40代のお客さまが、本人と親の健康のために購入するケースが多い」と指摘。「最近はダイエットをする若い女性も購入している。運動するときにも手軽に食べられ、腹持ちがいいことが評価されているようです」とニーズの広がりについて語った。 (チェ・へウォン)

水揚げされた済州産アワビ
【写真左】パササク乾アワビを販売する大洋営魚組合法人のキム・ヨンス代表【写真右】アワビ加工品の原料を収穫する済州の海女さん

▼一個丸ごと 栄養豊富
 天恵鰒のパササク乾アワビは、何よりもアワビを丸ごと味わえるのが最大の特長。アワビの身だけを材料にした他の製品とは異なり、内臓まで使い、独自開発したしょうゆで味付けして風味を一層高めた。お菓子のように手軽に、いつでも好きなときに食べられる。
 歯の弱いお年寄りやお子さんには、乾アワビを細かく砕いてご飯にふりかけて食べたり、ヨーグルトなどと一緒に食べたりするのがお勧め。高麗人参、干しナツメと一緒に味わう食べ方もある。
 香港で「食神」と言われる美食家の蔡瀾(チャイラン)さんは、2015年の「韓国産プレミアム水産物プロモーション」でパササク乾アワビを試食し「食べれば食べるほどパリッとした食感が印象的。栄養豊富なアワビの内臓を一緒に楽しめる素晴らしい製品」と評価した。
 パササク乾アワビは、16年に開かれた第18回済州島観光記念品公募展で、豊かな海に囲まれた地域の生活や文化、歴史に根差した特色ある観光記念品の一つとしても認められた。

中華料理の高級食材、珍味として根強い人気の「干し貝柱」

▼自然乾燥 うま味凝縮
 東を太平洋、西を日本海、北を津軽海峡に囲まれた青森県は、四季を通じて豊富な海の幸を味わうことができる。その中で最も生産額が多く、全国的にも知られているのが陸奥湾産ホタテガイ。保存性に優れた干し貝柱は、江戸時代から中華料理の高級食材として輸出されるようになり、青森みやげを代表する商品として今も根強い人気がある。
 「陸奥湾のホタテがおいしいのは、自然豊かな山々に囲まれた湾内が、いわば天然のスープのようなものだから。栄養たっぷりの海で養殖されるので貝柱がよく育ち、お刺し身は甘みたっぷり。干し貝柱には、濃厚なうま味が凝縮されています」。むつ市にある大型観光施設・下北名産センターの菊池俊明代表取締役は、自信たっぷりにこう話す。
 センターが扱う干し貝柱は、地元で水揚げされた新鮮なホタテを原料に使う。秘伝のスープで、じっくり煮込んだ後は乾燥作業。機械を使わず、天候や気温を見極めながら根気強く自然乾燥させるため、出来上がるまでには数週間かかる。
 干し貝柱を手で細かくちぎれば、そのままホタテの風味を楽しめるため、手軽な酒のつまみなどにぴったり。料理に使う場合は水に浸し、軟らかくして煮物やサラダなどに入れるが、うま味が溶け込んだ戻し水も調理に使うと、さらに味わいに深みが増すという。
 センターがあるのは、地元の新鮮な農水産物が集まる総合卸売市場の敷地内。年間約10万人の観光客が大型バスなどで訪れ、郷土料理やショッピングを楽しむ。中国や韓国、台湾などからの観光客も増えているため、外国語の看板や掲示も用意。千種類を超す土産品の中では、陸奥湾産ホタテを使った商品が一番人気で品数も圧倒的に多い。
 菊池さんは10年ほど前、韓国・済州島を旅行したことがあり「きれいな海、さわやかな空気、おいしい食べ物が印象的だった」という。「ホタテをはじめとした陸奥湾の海産物は自信を持ってお薦めできる商品。ぜひ、舌の肥えた済州島の皆さんにも味わっていただきたいですね」と話す。

【写真左】ホタテをはじめとした豊かな海の幸を育む陸奥湾(画面左は、むつ市街) 【写真右】優れた味と品質で国内外に知られる陸奥湾産ホタテガイ
【写真左】食を通じて青森と下北の魅力を国内外に発信する菊池さん 【写真右】大型バスで訪れた観光客らでにぎわう下北名産センター

▼代々守ってきた煮汁
 干し貝柱は、ホタテ加工品の中で定番的な商品。見た目も素朴なので、どの店で買っても味に違いはなさそうなものだが、製造する業者によって仕上がりは全然違う。その違いを生むのが「秘伝のスープ(煮汁)」だという。
 下北名産センター代表取締役の菊池俊明さんによれば、原料となる新鮮なホタテを煮込むスープは、それぞれの業者が代々受け継いできたもの。「材料を少しずつつぎ足しながら守ってきた煮汁に、味が同じものは一つもない。業者がよそに出すことは絶対ないはず」と、作り手の強いこだわりを語る。
 干し貝柱の一般的な調理例では、1個につき60ミリリットルくらいの水を容器に入れ、半日~1日くらい時間をかけてゆっくり戻す-とあり、だしがたっぷり出ている戻し汁を調理に使うのがお約束。「干し貝柱は、商品サイズの割に値段が高いと思われるかもしれませんが、掛かった手間を思えば当たり前。戻し汁は絶対に捨てないで、味わってくださいね」と菊池さん。