卒業証書(しょうしょ)の和紙を自分の手で作ろう-。青森県弘前市の相馬中学校の3年生25人は11月25日、同市相馬地区紙漉沢(かみすきさわ)の「ふれあい交流センター紙漉の里」で紙すきに取り組み、地域の伝統を学びました。
相馬地区紙漉沢には、南北朝時代に津軽に逃(に)げてきた僧侶(そうりょ)が製紙(せいし)技術(ぎじゅつ)を伝えた-という伝説があり、同校は毎年、3年生が卒業証書の紙を自分たちで作っています。
地元の主婦(しゅふ)たちがボランティアで集った「紙漉き隊」の4人が、生徒たちを手伝いながら作り方を教えました。生徒たちは、紙の材料となる「ウエットパルプ」を水を張(は)った水槽(すいそう)から、底が網状(あみじょう)になっている「すき板」ですくい上げると、不思議な水の感触(かんしょく)に歓声(かんせい)を上げていました。
紙は、掃除機(そうじき)のような専用(せんよう)の機械で水分を吸(す)い取ると、すき板から手で剥(は)がし取れるようになります。
最後に70度ほどまで熱くなる乾燥機(かんそうき)に掛(か)けて完成させました。紙は印刷業者が印字した後、卒業証書として生徒たちの元に戻(もど)ってきます。
紙すきに初めて挑戦(ちょうせん)した三上空雅(みかみ・くうが)さん(15)は「水を吸った状態(じょうたい)の紙は思ったより重かったが、簡単(かんたん)に作れた。地元ならではの特別な体験ができてありがたい」、種澤秋之介(たねさわ・しゅうのすけ)さん(15)は「きれいにすき板を持ち上げるのは難(むずか)しかったけど楽しかった。卒業証書を自分で作ることができるのは良い思い出になってうれしい」と話しました。