記念撮影に納まる(左から)成田美名子さん、岡田康博さん、町田光司さん
あいさつで先月他界した妻・祐子さんについて語る医師の町田光司さん

 「地道な活動に敬意」「大変な労力」-。4日、青森市で開かれた東奥賞贈呈式で、縄文遺跡群世界遺産登録推進本部、成田美名子さん、町田光司さんの熱意と功績をたたえ、出席者は大きな拍手を送った。

 「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界遺産登録推進に、専門家委員会委員長として関わった菊池徹夫・早大名誉教授は、縄文遺跡群の中核・三内丸山遺跡(青森市)の保存が決まった1994年にさかのぼって、市民や関係者の努力を賛美した。気候や環境の変化に適応した暮らしなどを示す縄文遺跡群について「若者が環境破壊の問題などを真剣に考え解決に立ち向かう時、かけがえのない確かな物証になる」と登録の意義を語った。

 三村申吾知事の代理で賞状を受け取った岡田康博・県世界文化遺産登録専門監は取材に「次の世代を担う子どもたちにしっかり縄文遺跡群の価値を伝えていきたい」と述べた。

 「みんちゃん、おめでとう!」。祝賀会の席で、明るい声で成田さんに祝福の言葉を贈ったのは、いとこでシンガー・ソングライターの小笠原ちあきさん。2人が高校2年生の時、入院した小笠原さんにお見舞いを買うために白泉社主催の賞金付きの漫画賞に応募したことが、成田さんの漫画家デビューのきっかけだと明かした。「当時、お小遣いは3千円。入賞して、8800円もするネグリジェをくれました」と、小笠原さんはほほ笑んだ。

 白泉社代表取締役社長の菅原弘文さんは祝辞で、成田さんの作品が世界的に人気であることに触れ、「タイトルロゴを自ら描いたり、熱心に取材をしたり、そんな妥協のない作品作りが成田先生の強み」と称賛した。

 「正義感が強くアクティブ。人の悪口を言わない」。弘前市医師会健診センター所長の中村光男(てるお)さんは、町田さんの人物像をこう語った。2人は約40年前、弘前大学第3内科(現・内分泌代謝内科)で、膵臓(すいぞう)の研究に没頭。熱く議論を交わした。

 受賞理由となった警察医の検視活動について、中村さんは「テレビでやっているような、かっこいいものではなく、地味で大変。寝る間も惜しんでやる仕事」とねぎらった。「地域医療の分野でも、眼科医の奥さまと一緒に熱心に取り組んできた」と敬意を表した。

 町田さんは、若い頃から空手や少林寺拳法、プロレスなどに親しんできた。何事も真剣勝負で一生懸命な生き方を、中村さんは「格闘技人生」と表現。「これからも県民のために体に気を付けながら頑張ってほしい」と期待した。

▼町田さん「研究進め供養に」 妻・祐子さん先月死去

 東奥賞を受けた町田光司さんの妻で眼科医の祐子さんは11月23日、町田さんが運営する施設で亡くなっている。64歳だった。長くがんを患っており、約3カ月前から意識不明だった。町田さんは4日の贈呈式で、祐子さんへの思いを語った。

 祐子さんの死後、町田さんは「一生懸命、治療・看病したのになぜ」という後悔や疑問が残っていたという。自身のクリニックで祐子さんの死後画像診断を行ったところ、脳へ転移したがんが脳幹部にも広がり、内部で出血したことが死因だと判明した。痰(たん)が喉に詰まったことなどによる死ではないことも分かった。「施設職員が一生懸命、妻をケアしてくれた。それが改めて分かった。検査は、妻の主治医である私のため、妻のためにもなった」

 町田さんはこれまで祐子さんと協力して、目の中にある液体(房水)の血糖値から死因を特定する研究を行ってきた。「今後研究を進め、論文で発表したい。それが妻への供養になる」と述べた。