青木ボクシングジムで日々練習に励むつがる慶也さん=東京・高田馬場

 ボクシングの聖地・後楽園ホールに7月、吉幾三さんの「俺ら東京さ行ぐだ」が鳴り響いた。その曲に乗って入場してきたのがリングネーム「つがる慶也(けいや)」こと越田慶也さん(22)=弘前市出身、都内在住。プロボクサーとして、念願のデビュー戦を迎えた。

 慶也さんのボクシング歴はまだ浅い。本格的に取り組んでから1年半ぐらいだという。

 小・中学校、そして東奥義塾高校時代は部活動で野球に打ち込んだ。一方で、ボクシングへのあこがれを持っていた。「トランクス1枚で殴り合う姿がかっこいい。男のロマンだな、と」

 きっかけは16歳で難病の潰瘍性大腸炎を患ったこと。腹痛や下痢を繰り返し、体重が減少した。「どうせ体重が減るなら減量で苦しむこともないだろうからボクシングをやればいい」。3年夏に部活動を終えてから、弘前市内のジムに通い出した。体調が悪い時には悩むこともあったが、落ち込んでいる暇はない-と気持ちを奮い立たせた。

 仕事をしながらプロボクサーになる夢を目指すため、専門学校に進んで保育士の資格を取った。保育士の母親に勧められたのと、子どもが好きだったからだ。

 卒業後の昨年4月、上京。日中は保育所に勤め、午後6時以降はジムに通って練習する日々を送る。「ほかの皆さんも昼間は働いている。特別なことじゃない」とさらりと言う。「家族や友人、職場の人などたくさんの人から応援してもらっている。頑張らないといけない、という気持ちがより強くなった」

 「つがる」を前面に打ち出すリングネームは、所属する青木ボクシングジムの有吉将之会長が名付けてくれ、「めっちゃ気に入っている」。トランクスに弘前市の市章「卍」と、青森県をかたどったマークを入れ、郷土愛あふれる姿でデビュー戦のリングに立った。会場には保育所の先生たちも詰め掛け、「けいや先生」と書いた手作りのうちわで声援を送った。

 残念ながら、結果はドロー。試合の映像を10回以上見返し、「自分の良い所、悪い所が見えてきた。次につながる試合になったと信じている」。

 2戦目は9月4日。デビュー戦と同じ相手との再戦だ。「次は絶対に勝つ」。そのことだけを考え、毎日の練習に励んでいる。