夏休みの早朝に八戸市の長者山新羅(しんら)神社の境内(けいだい)で行われる恒例(こうれい)の「森のおとぎ会」が7月22日から28日まで開かれました。おとぎ会は、童話や南部地方に伝わる昔話を子どもたちに語り聞かせようと、約100年前に始まった大変歴史があるイベントです。昨年は新型コロナウイルスの感染(かんせん)が広がったために中止となりましたが、2年ぶりに子どもたちの笑い声が森の中に響(ひび)き渡(わた)りました。
初日の22日は、毎年おとぎ会を開いている八戸童話会の柾谷伸夫(まさや・のぶお)会長が、クロヒョウを題材にした物語を紹介(しょうかい)。佐々木和子(ささき・かずこ)副会長は、五戸町のキャラクター「五戸のおんこちゃん」が登場する絵本を読み聞かせました。
八戸市の吹上小学校5年生の津田健晴(つだ・けんせい)君も読み聞かせに挑戦(ちょうせん)しました。パネルに次々と絵を張(は)っていって物語を展開(てんかい)する「パネルシアター」と呼(よ)ばれる方法で、ユニークな言葉遊びの話を披露(ひろう)しました。津田君は「思った以上に笑ってくれたのでうれしかった」と笑顔(えがお)を見せていました。
森のおとぎ会は1924(大正13)年、八戸市中心部が大きな火事に見舞(みま)われ、被害(ひがい)を受けた子どもたちを元気づけようと始まりました。今から50年ほど前には、毎朝500~600人の子どもたちが集まっていたそうです。境内での開催(かいさい)が中止になったのは、太平洋戦争の末期だった45(昭和20)年と昨年のわずか2回のみ。柾谷会長は「100周年を迎(むか)える2年後に向けて頑張(がんば)りたい」と話していました。