ガタンゴトン、ガタンゴトン−。たくさんの人を乗せ、線路の上を走る電車。みんなも乗ったことあるよね。青森市に本社がある「青い森鉄道」は、青森駅(青森市)から目時(めとき)駅(三戸町)までの121.9キロをつなぐ鉄道会社。ここで働く八戸市出身の小野寺将紀(おのでらまさのり)さん(24)=青森市在住=は、鉄道会社の“顔”である電車の運転士として活躍(かつやく)しています。
電車は多くの人が利用する公共交通機関。青い森鉄道の電車は、旅行などに使われる新幹線(しんかんせん)や特急列車とは違(ちが)い、目時−青森間にたくさんある駅を行ったり来たりして、通学や通勤(つうきん)などに使われている県民の大事な移動手段(いどうしゅだん)です。
小さなころから乗り物好きだった小野寺さんは高校卒業後、青い森鉄道に入社しました。最初の2年間は、鉄道員としての知識(ちしき)を学んだほか、福島(ふくしま)県にある運転士の養成所で電車の運転免許(めんきょ)を取得しました。一人前の運転士としてデビューしたのは20歳のとき。「初めて一人で運転した時は不安でいっぱい。ドキドキしているうちに仕事が終わっちゃいましたね」と小野寺さんは笑顔で振(ふ)り返(かえ)ります。
会社に行くと、運転に使う運転士用の懐中(かいちゅう)時計の時間がずれていないか確認(かくにん)。電車は安全第一で運転します。落ち葉や雪は、線路の上で車輪が滑(すべ)る原因(げんいん)になりやすく、秋と冬は特に慎重(しんちょう)な運転が必要です。利用客に頼(たよ)りにされている交通機関なので、何よりも時間通りの運行を心掛(こころが)けています。小野寺さんは「この仕事は、『当たり前』の積み重ねなんです。でもその日の仕事が無事に終われば、やっぱりうれしいですね」と語ります。
小野寺さんは常々(つねづね)思っていることがあります。「鉄道は、運転士だけで成り立っているわけではありません。線路を整備(せいび)してくれる人や切符(きっぷ)を売ってくれる人など、さまざまな人たちの支(ささ)えがあって、自分があるんです。だから運転士を目指すためには仲間を大切にする気持ちが大事です」