風間浦村の集団接種会場で村民にワクチンを接種する、むつ総合病院の看護師(左)=24日午前
ワクチン接種直前の問診で、体調に変わりないか村民に確認するむつ総合病院の医師2人(左と右奥)

 65歳以上の高齢者向けに新型コロナウイルスワクチンの集団接種を進めている青森県風間浦村は24日、むつ総合病院(むつ市)の医師2人、看護師4人の派遣を受けた集団接種を始めた。むつ下北地域の自治体は、ワクチン接種だけでなく、重い副反応が出た場合の対応についても連携を強化し、脆弱(ぜいじゃく)な医療体制を補おうとしている。ワクチン接種に関する自治体を超えた医師派遣は、県内で先進事例とみられる。

 「むつ総合病院からの派遣がなければ、高齢者の接種完了は秋ごろにずれ込んでいた」。風間浦村の冨岡宏村長は24日、医師の派遣体制を整えた一部事務組合下北医療センター管理者の宮下宗一郎むつ市長、橋爪正むつ総合病院長らに感謝した。

 仮に村の診療所単独で接種体制を取った場合、通常診療の合間にワクチン接種を進めることになり、村は人数分のワクチンが手元に届くのに接種がなかなか進まない-というジレンマがあった。冨岡村長は、迅速な接種のために医師の応援を要請していた。

 村は20日に診療所スタッフによる高齢者向け集団接種をスタート。村の65歳以上の人口は約830人。26日の週に2箱目のワクチン(1箱975人分)が到着すると、65歳以上の2回接種分が確保できる。2回接種完了は6月3日の見通し。

 冨岡村長は「医療環境が脆弱なむつ下北では、地域から感染者を出さないことが重要。ワクチン接種で集団免疫を獲得することが、日常を取り戻すきっかけになるのではないか。あと2箱来れば、村民全員分を賄える」と話した。

 24日、集団接種会場の村総合福祉センター「げんきかん」で問診を担当した、同病院の葛西雅治副院長は「病院のトップが『同じ医療圏だから助け合おう』という志を持っているので、その考え方が浸透していると思う。風間浦に来ることを喜んで引き受けた」と話した。

 むつ総合病院では医療従事者向けにはワクチン接種を進めてきたが、一般住民に接種をするのは初めて。葛西副院長は「われわれは接種を受けた側でもあり、この経験を伝える役割を担っていこうと思っている」と話した。

 医師・看護師の派遣は毎週土曜日に設定し、1日当たり村民140人に接種する計画。翌日曜日は診療所が休診のため、重い副反応が出た場合は隣接する大間町の大間病院が急患に対応する協力体制も整えた。

 24日午前、夫婦で接種を終えた平嶋栄子さん(67)は「むつ病院の先生方が来てくれていなかったら接種はもっと後になっていたと思う。ありがたい」と話した。