「美しさと同じぐらい食べやすさが大切」と話す大内さん=東京・国分寺市
県産リンゴを使った大内さんのデザート

 果物や野菜など食材を細工のように美しくカットし盛り付ける「飾り切り」。中泊町出身の大内優紀枝さん(41)=都内在住=は飾り切りのプロを養成する講師の資格を持つ、国内では数少ない存在だ。

 自宅の専用キッチンで技法や料理を教えるほか、大手食材メーカーとコラボしてのオリジナルメニュー開発、全国自治体の依頼を受けた名産物の加工品開発など広く活動。県りんご対策協議会とともにリンゴ飾り切り講習会を開いたりエッセーを書いたりと県産食材の情報発信にも取り組む。

 「子供のころから料理、特に食材を切ることに興味があった」。とはいえ料理で身を立てる気はなく、高卒後に上京して会社員に。23歳で結婚すると2人の子宝に恵まれ、都内で専業主婦として暮らしていた。

 人生が変わるきっかけは2011年の東日本大震災と原発事故だった。「食の安全、健康に暮らせる食の大切さに気づいた」。自宅近くに土地を借り、保存に向く根菜など野菜を作った。故郷からは漁師の父が毎週のように鮮魚を送ってくれた。やがて「どう作れば野菜と魚の成分をしっかり吸収できるのか、考えるのが楽しくなった」。友人から料理を教えてほしいという声も上がり、自宅で教室を開くようになった。

 大内さんの名は徐々に広がり、依頼を受けて料理の原稿を書くライターの仕事も始めた。「でも私の料理は独学で、学校などできちんと学んでいないことが壁となった」。乗り越えるため、好きだった食材カットの道を極めようと考えた。国内第一人者に学んで精進し、2018年にカッティングプロ養成講師の資格を取得。「私が通算4、5人目だったらしいです」

 飾り切りは完成時のイメージを大事にするという。「季節感もそうだし、食を促す食べやすさも大切。栄養が取りやすい食材の組み合わせなど健康にも配慮します」。例えば菜の花とタラのつみれ汁。タラのすり身とレンコンで消化の良いつみれを作る。大根は梅の花形に切り、菜の花と共に春を演出。「野菜などの端材はスムージーにします」。無駄は極力出さない。

 リンゴは他の果物より果肉が硬く、飾り切り向きだそうだ。「特に県産は種類が豊富で入手しやすい。味も飛び切りです」。2月に県りん対協と開いたオンラインセミナーは全国から約100人が参加した。

 美しい飾り切りに驚き、喜んで食べる顔を見るのが何よりうれしい、と大内さん。「野菜も果物もお魚ももっとたくさんの人に好きになってほしい。それが願いです」

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 <おおうち・ゆきえ 1979年、中泊町(旧小泊村)生まれ。五所川原商業高校卒。都内で料理教室を主宰、料理ライターとしても活動。フルーツカッティング技法考案者の一人・村上しずか氏に学び、カッティングプロ養成講座講師に。野菜ソムリエ、食育インストラクターでもある>