青森山田中3年の水谷隼也(みずたに・じゅんや)さん(15)=青森市浪岡=が、日本将棋連盟(しょうぎれんめい)のプロ養成機関である関東奨励会(しょうれいかい)に入会することが決まりました。プロ棋士(きし)という夢(ゆめ)に向かう水谷さんは「強い人たちと戦うことになるが、自分の実力を信じて指していきたい」と抱負(ほうふ)を語りました。
奨励会の下部組織(そしき)に当たる同連盟関東研修会(けんしゅうかい)で1月31日、直近の成績(せいせき)が昇級規定(しょうきゅうきてい)を満たす12勝4敗となり、奨励会入会の資格(しかく)を得(え)ました。
昇級規定はほかに「8連勝」などがあり、水谷さんは昨年末、7連勝で昇級に王手をかけました。しかし次の対局で黒星。心が折れそうになりましたが「諦(あきら)めたらこれまでの苦労が水の泡(あわ)になる」と奮起(ふんき)し、今回の昇級につなげました。
水谷さんは小学5年の時に本格的(ほんかくてき)に将棋を始め、2年ほどでアマ四段(だん)の実力に到達(とうたつ)。2020年7月の「第45回中学生将棋名人戦」で優勝(ゆうしょう)し、県勢(けんぜい)初の全国中学生名人になりました。18年7月から関東研修会に所属(しょぞく)し、都内で毎月2回行われる例会で腕(うで)を磨(みが)いてきました。
奨励会では6級からスタート。県内の学校に通いながら引き続き月2回ほど上京し、中村修(なかむら・おさむ)九段の指導(しどう)の下、プロの資格を得る四段を目指します。水谷さんは「まずは高校生のうちに段位を取るのが目標。プロ棋士を目指して頑張(がんば)りたい」と話しています。
【メモ】将棋(しょうぎ)のプロ棋士(きし)になるためには基本的(きほんてき)に、奨励会(しょうれいかい)の三段(だん)リーグで1、2位になり四段に昇段(しょうだん)する必要があります。三段リーグは半年にわたって行われるので、プロ棋士になれるのは1年でたった4人という「狭(せま)き門」です。
奨励会は年齢制限(ねんれいせいげん)があり、21歳の誕生日(たんじょうび)までに初段、26歳の誕生日を迎(むか)える三段リーグまでに四段になれない場合、退会(たいかい)しなければなりません。ただし、退会後でもアマチュア全国大会などで活躍(かつやく)した場合、編入(へんにゅう)試験で合格(ごうかく)すればプロ棋士になることができます。
青森県で幼少期(ようしょうき)を過(す)ごし現在(げんざい)、プロ棋士として活躍しているのは行方尚史(なめかた・ひさし)九段、阿部光瑠(あべ・こうる)六段(ともに弘前市出身)の2人です。