「練習中のギターで弾き語りライブを開くのが今年の目標」。路上ライブで使う新宿駅前で話すjuriさん
都内の路上ライブで歌うjuriさん=昨年3月(本人提供)

 「どんなあなたも誰かの一番だから…」。透明なハイトーンボイスが聴く人の胸に入り込む。下北なまりの温かいトークが聴衆を和ませる。会員制交流サイト(SNS)で注目のシンガー・ソングライターjuri(ジュリ)さん(都内在住、むつ市生まれ)の路上ライブだ。

 「小学1年、父に連れられて行ったスナックでカラオケを歌った。お客さんに褒められ、おひねりまで。歌手になろうと決めた」

 恵まれた家庭環境とは言えなかった。親の離婚で六ケ所村の祖父母宅に移住。母は体が弱り十分に働けなくなった。2人の妹と母の生活のため、高校に通いつつアルバイトを掛け持ちした。「母は妹たちの学校行事などに出席できず、私が代わりに出てました」

 高卒後は村内企業に勤めたが「歌手の夢は持ち続けていた」。上の妹の高校卒業を待って23歳で上京、歌手の道を歩みだす。渋谷や新宿で路上ライブを始め、客も集まるようになった。アルバイト先から深夜に帰宅、日中は曲作りとライブの日々。家族への仕送りは欠かさず、下の妹の学校行事があれば帰省もした。

 やがて最初の頃に来てくれていた客が減っていると気付いた。自分の言葉や歌に心が入ってないのでは、と悩んだ。あるライブで、自分のSNSをフォローしている少女に「juriさんは私の生きがい」と声を掛けられた。心臓病と闘っているという。自分はこの少女のように、人生を懸命に自分らしく生きてきたといえるだろうか-。「母代わりになろうとよろいを着込み、自分を無理に作っていたことがライブで出たのだと気付いた」。自分を見直そうと活動を中断した。

 「私の歌は太陽の光のようと言われていた。でも私の中には闇もある」。本当の自分をさらそうと、光と闇、双方の葛藤を表現した曲を初CD「ありのままで生きる」に収録し、2019年11月にリリース。発売日に開いた初ワンマンライブは動員150人超、2度目の単独ライブも成功させた。20年にはクラウドファンディングを活用し、初のミニアルバムも発売した。

 昨夏は三沢市で凱旋(がいせん)ライブを計画したが新型コロナの影響で延期に。「配信ライブも始めたけど、やはりファンの前で歌いたい」。成長の軌跡を、支えてくれた故郷の人々や家族、そして多くのファンに見てもらいたいと思う。「今の自分は100点じゃないけど、仲間やファンに支えられて100点に向けて挑戦できることが幸せ。私の姿を見て『わぁも頑張るがな』と思ってもらえればうれしい。私自身が幸せを感じなかったら、周りのみんなを幸せにできるわけがないですから」

 <じゅり 本名・川畑樹璃。1993年2月26日、むつ市生まれ。六ケ所高校卒。県民駅伝に六ケ所村チームとして出走経験。同村の「ミスニッコウキスゲ」に選ばれたことも。19年初シングル、20年初アルバム「君の笑顔が見えた理由」発売。2度の単独ライブも成功させ注目を浴びる>