
スタートは三沢市の空の玄関口・三沢空港。ターミナルビルの売店で、三沢市出身で愛知県在住の田中美枝子さん(59)がお土産品を物色していた。「人気のリンゴパイは、あ、これこれ。すごくおいしいんでしょ」。今回は里帰りで20日ほど滞在し、この日の夜の便で戻る。6月のアメリカンデーを5、6年ぶりに楽しんだといい、「米国風の大きなチョコレートケーキがとてもおいしかった」とにっこり。

空港を出て、西へ歩くと、市民運動広場野球場(楽天イーグルスボールパーク三沢)が見えてきた。グラウンドから「ガタ、ガタ」という機械音が聞こえる。野球場を管理する市自治振興公社職員の澤岸文雄さん(65)がグラウンド整備用のトラクターを運転していた。時折、目をこらして石ころを探す。「石があると、スライディングしたときにけがしてしまうから」。外野手として朝野球の県大会に出場した経験があり、整備中の表情は真剣だ。

グラウンドを後にし、県道10号に出て中心街方向へ。日も傾き始め、そろそろ晩ご飯の時間。香ばしい香りに誘われ、市民にはおなじみの鶏空揚げの専門店「から揚げ人生」に立ち寄った。2代目店主の野崎幸子さん(69)に注文しようとすると、この日は定休日で明日の準備をしていたとのこと。がっかりしていると「せっかく取材に来たので、どうぞ」と空揚げを1個差し出してくれた。揚げたてはサクサクとした食感が最高。

さらに県道を進み、中心街にある市武道館に到着。県道、空手などの練習が行われている中、ボクシング元日本チャンピオンの木村登勇さんが開く「健康パンチ塾」をのぞいた。ボクシングを通じて健康増進を図るための教室という。
この日は受講生の男女8人が集まっていた。みんな練習中も笑顔が絶えない。「ミット打ちで、いい音が出るとスカッとする。ストレス解消にぴったり」と話す小田川倫代さん(49)。ストレート、アッパー、フックのパンチを軽快に繰り返していた。

外に出ると、日は落ちすっかり夜に。いつもなら飲み屋街を歩くと米国人グループと出くわすことが多いが、今日はなぜか見掛けない。三沢基地正面ゲート付近にあり、米国人客が多いバー「TUBES」でもこの日は米国人がゼロ。オーナーの佐藤加寿子さんが「今日は米国(の暦)では4連休最後の日で、米国人はほとんど飲み歩いていない」と教えてくれた。週末には米国人で店が埋まることも多いというので、米国ムードを味わうのはまた今度にしよう。