
初めに市の施設で国の登録有形文化財の「更上閣」に立ち寄った。明治から昭和初期にかけて財をなした泉山家の邸宅で、明治30年ごろ建てられた。庭で行われるえんぶりを鑑賞できる「お庭えんぶり」の会場としておなじみだが、普段は踊りや琴の稽古場などとして使われているという。管理人の遠藤達也さんは庭の手入れの途中で取材に応じ「訪れる人に古い建物の歴史を感じてもらいたい」。

公園内に東側の入り口から入った。冬の間にぎわっていた屋外リンクはがらんどう。曇天でもあり、何だかさみしげ…と思っていたところに、市武道館前で華やかな女性グループを発見。「木曜日の楽しいダンス」の皆さんで、練習を終えたばかり。ツツジを背景にポーズを決めてもらった。「リズムに乗るのが好き」と三浦きぬさん(70)。市屋内スケート場工事現場を見ながら歩いて来たそうで「だんだん壮大になってきたね」と話す。

南側へ向かうと、そのスケート場建築工事の現場事務所にたどり着いた。総事業費約126億円の大事業。現場はくい打ちが終わり、基礎工事の最中で、8月以降、建物の姿が見えてくるという。特別に同事務所2階から、現場を見せてもらった。石川俊英作業所長(50)は「皆さんに喜んでもらえるスケート場ができるよう、所員一同頑張る」と力を込めた。

公園を出て、閑静な住宅街を進むと「レストラン アタ」が見えてきた。店主の有谷明子さん(73)は「できるだけ加工品を使わず、おいしいと思うものを自分たちの手でつくるようにしています」。スパイスやハーブが香るオムライスのセット(800円)で元気を充電。

ちょっと足を延ばして、長根公園と馬淵川の間に広がる平安時代の熊野堂遺跡へ。道路拡張工事に伴い4~5月、市埋蔵文化財センター是川縄文館が発掘調査を行い、十数棟の竪穴住居跡などが見つかった。主事兼学芸員の苧坪祐樹さん(31)が現場を案内してくれた。
ところで平安時代の人はスケートをしましたか-と聞くと、苧坪さんは「スケートに関する物は出てきていません」と冷静に回答。「ただ、馬淵川右岸には複数の遺跡があり、人が住みやすい地域といえる。長根公園周辺も、古くから人が集まる場所だったと考えられます」と教えてくれた。
市屋内スケート場は2019年秋に完成予定。変わりゆく景色の中に、変わらず市民に親しまれてきた「長根」の歴史が感じられた。