プロ雀士として活躍を誓う成田さん=2020年12月、東京都内

 公務員を辞め、プロ雀士(じゃんし)に転身した。元弘前市職員の成田裕和さん(24)=大鰐町出身=は2020年に最高位戦日本プロ麻雀(マージャン)協会のプロ試験に合格。現在は東京都に移り住み、下位リーグに参戦して場数を積み重ねる。栄えあるタイトルの獲得へ向け、「早く強くなりたい」と意気軒高だ。

 同協会は年間を通じ、リーグ戦やタイトル戦を開催する。成田さんは現在、10階級に分かれるリーグのうち下から2番目の「D2」に参画。今季は16日の最終節を経て33人中7位で終え、昇級を確定させた。

 弘前大学1年の時、友人の家で初めて麻雀パイを触った。知的な面白さに魅せられ、プロ雀士の番組を視聴したり弘前市内の雀荘に通った。ただ、当時はプロになろうとは全く考えていなかった。大学で空き家や空き店舗を活用した地域活性化をテーマに論文を執筆。卒業後は弘前市役所に入庁し、防災関係の部署で勤務した。

 20年春、新型コロナウイルス禍の席巻が、人生設計を見つめ直す機会になった。「将来がどうなるか分からない-と分かったからこそ、好きなことを仕事にしよう」と決意。プロ雀士の道を極めるために市役所を退職し、都内に拠点を移した。

 プロと言っても、賞金や対局料など「競技」だけで生活ができる雀士はほんの一握り。今は健康麻雀店で勤務したり麻雀講師のアシスタントを務めながら技を磨き、月に数回の対局に備える。

 リーグ戦でライバルたちといざ卓を囲むと、会場はパイや点棒を動かす音以外は静寂に包まれる。私語は厳禁。「空腹じゃないと集中できない」ため、対局の日は朝食以外、食べ物を口にしない。局面ごとに最善の手を繰り出すべく集中力を高めるため、対局を終えると、倒れそうなほど疲れることもあるという。

 自身のスタイルは「リスクを負ってでも満貫以上の手を積極的に狙う、打点の高い攻撃型」。師匠の先輩雀士を見習って「対局が終わった後、なぜそう打ったのか一手ごとの思考を全て言語化して説明できる」ようになることが、強くなるために必要だと自覚する。

 局面の的確な把握、理論に基づいた「期待値の高い一打」を放つため、これまでに麻雀関連の本を50冊読むなど、学習も怠らない。

 「最高位」などのタイトル獲得や、企業と契約を結んで団体戦に挑む「Mリーガー」になることも目標の一つだ。「20代のうちにかなえたい」と意気込む。安定の道を断ってまで踏み入れた勝負の世界。鍛錬の日々が続く。

 <なりた・ひろかず 1996年、大鰐町出身。弘前中央高校、弘前大学を経て2018年に弘前市役所に入庁。20年に最高位戦日本プロ麻雀協会の試験に合格。プロ雀士>