弘前市内につくったメイドカフェのセットで撮影に臨む柳島さん

 津軽を舞台にした映画「いとみち」(横浜聡子監督=青森市出身、主演・駒井蓮さん=平川市出身)は、6月の公開まで約半年となった。昨年、弘前市、青森市、板柳町など、オール県内で行ったロケには、これまで多くの北野武監督作品に携わってきたベテランカメラマンが撮影監督として参加。小道具として劇中で使用されるスマホ画面や漫画には、地元企業のこだわりが詰まっている。撮影を裏で支えた人たちを紹介する。

 撮影監督を務めたのが、多くの北野武監督作品に携わっているベテランカメラマン柳島克己さん(70)。今回初めて「横浜組」として撮影に臨み「日々、撮影が進むごとに主演の蓮ちゃんが魅力的になっていった。それが映像に出ていれば」と話す。

 元々、写真カメラマンを目指していたが、俳優・三船敏郎が設立した三船プロダクションで映画カメラマンの経歴をスタート、東映セントラルフィルムのテレビドラマ「あぶない刑事」シリーズが、独り立ちして初めて撮った作品という。

 温和な人柄で、比較的若いスタッフが多い現場に解け込んでおり、「横浜監督は娘のような年齢だし、蓮ちゃんは孫くらい。でも、撮影が始まれば年は関係ない」と言う。駒井さんの三味線については「1月ごろに練習を見たときは、ポロンボロンって本当に大丈夫かと思った。でも半年たってみると、すごいんですよ」と成長ぶりに目を見張る。

 三船プロには黒澤明監督の作品を撮る黒澤組スタッフがたくさんおり「独特の雰囲気だった」と言うが、そこで人間関係の大切さを学んだ。さらに、フィルム時代の撮影を経験し、デジタルが圧倒的に便利と前置きしつつ「不便さも重要。フィルムチェンジをどこでするかなど、カメラマンとして考えることが身についた」と話す。

 文化庁の海外研修で1年間、イギリスに滞在し、ヨーロッパ映画の雰囲気を学んだ。目指す色は作品によって異なるが、いとみち撮影に当たり横浜監督から「グリーンとブルーを足したシアン系のトーンにしたい」との要望があったという。「今はスマートフォンでも映画が撮れる時代だが、スマホの画面はそれぞれ色が違う。テレビも縦横比の関係で両サイドの映像が切られてしまう。映画のためにこだわって撮っているので、映画館で見て、世界観を感じてほしい」と言う。また「日本の映画界の質はだんだん落ちている。意識を変えて頑張らないと」と若手を激励した。