中学硬式(こうしき)野球の青森山田リトルシニア(青森市)は、1、2年生26人で臨(のぞ)んだ10月の秋季東北大会で2年連続5回目の優勝(ゆうしょう)を飾(かざ)りました。春・秋季などの東北大会を4回連続で制(せい)し、昨年秋から続く県内、東北での公式戦の連勝記録を26に積み重ねています。代替わりしたばかりの新チームにはどうしても負けられない理由と目標があります。「3年生が悔(くや)しい思いで果たすことができなかった日本一。僕(ぼく)たちの手でつかむぞ」
▼3年生最後の大会 コロナで中止に
3年生16人にとって最後の大会となった9月の日本選手権(せんしゅけん)。青森山田は初戦、過去に全国制覇(せいは)も経験(けいけん)した静岡裾野(すその)に逆転(ぎゃくてん)勝ちし、準々決勝(じゅんじゅんけっしょう)に進みました。対戦相手の大宮(埼玉)には、直前に行われた別の全国大会でコールド負けを喫(きっ)しています。青森山田はその雪辱(せつじょく)を果たし、一気に日本一へ駆(か)け上がろうと意気込(いきご)んでいました。
しかし、試合開始前、他チームの関係者に新型(しんがた)コロナウイルスの陽性(ようせい)反応(はんのう)が出たことから全日程(ぜんにってい)の中止が決定。3年生は不完全燃焼(ねんしょう)のまま中学野球を終える形になり、悔しさから泣きだす選手もいたそうです。
その3年生たちを前に「『あのチームのせいで』と思うのはやめよう。東北大会で優勝し、日本一を目指せた過程(かてい)が大事」と伝えた中條純(なかじょう・じゅん)監督(かんとく)。2カ月近くたったいま、「3年生はこの悔しい経験を胸(むね)に高校で頑張(がんば)って。下級生も先輩(せんぱい)の思いを忘(わす)れずに、ともに築(きず)いた粘(ねば)り強い野球を受け継いで」とエールを送ります。
10月31日、2、3年生混合(こんごう)の紅白戦(こうはくせん)が黒石市営球場で行われ、勝敗を超えてプレーを楽しみました。
「下級生とは練習だけでなく、学校や寮(りょう)生活でもたくさんの時間を共有でき、元気な姿(すがた)にも支(ささ)えられた」と、笑顔(えがお)を見せる前主将(しゅしょう)の野村祐(のむら・ゆう)さん(3年、上北小出)。新主将の橋場公祐(はしば・こうすけ)さん(2年、大畑小出)も「3年生からは劣勢(れっせい)の時も決してあきらめず、自信を持って臨(のぞ)むことを学んだ」と感謝(かんしゃ)した上で力強く誓(ちか)います。「来年春の全国選抜大会では、先輩たちの悔しさを忘れずに日本一を目指す」