「ここのオリジナルメニューを地元でも提供できるよう考えたい」と語る西巻さん=神楽坂の「果房メロンとロマン」
隠れ家的な雰囲気と「映える」スイーツ。大人の女性層が注目

 東京・神楽坂の通りから小路に入ると、メロンを模したタイル張りのおしゃれな店が目に入る。「果房メロンとロマン」は、国内初のメロンスイーツ専門店として昨夏開業した、つがる市のアンテナショップ。メロン特化が人気の、神楽坂の注目スポットだ。

 元民家の1、2階が店舗で、3階に同市東京事務所がある。店舗の運営を担当するのが同事務所産業振興係長の西巻公嗣さん(40)。「メロン専門工房」というコンセプトを打ち出すイメージ戦略やメニュー検討、スタッフ管理など業務は多岐にわたる。「各種戦略は私1人でなく、事務所職員や店舗スタッフ、広告代理店などと意見を出し合って考えています」

 市のアンテナショップであり、市の知名度アップや誘客促進、農業後継者ら移住者の増加という目的がある。多々あるアンテナショップに埋没せず、個性的で注目される店舗にするために「誘客のフックを、売上額全国4位を誇る当市のメロンに絞った」。同市がメロンの主要産地であることはあまり知られていない。市はこれを逆手に、メロン特化でショップの個性をアピールする一点突破の戦略を取ることを決めた。

 幅広い年齢層が好むメロンだが、特に30代以上の女性に人気というリサーチ結果に西巻さんらは着目。神楽坂に集まる大人の女性をターゲットとした。会員制交流サイト(SNS)の活用など発信力が強い層であることを考慮し「外装は神楽坂にマッチさせ、内装は大人の隠れ家的な雰囲気にした」。店のロゴやホームページのデザインも、かわいすぎずシンプルでクールな感覚を取り込んだ。

 メニューは全てメロン由来で常時約10種。つがる市産をメインに、季節ごとに全国のメロンを用いる。メロンと旬の果実を合わせたパフェなど季節限定品も提供、リピーターをつかむ。「外部のフードコンサルタントなど専門家とも意見を交わし、試作を重ねメニューを決める。調理スタッフも含め、皆にスイーツへのあふれる情熱がある」と、西巻さんは誇らしげだ。

 首都圏にあるつがる市の玄関口として、首都圏と地元の交流にも力を入れる。昨年は地元の若手メロン農家を招き、顧客との交流会を開催。「栽培方法などを深く知ってもらえたし、生産者の意欲も向上したと思う」。同市への移住検討につながれば、と期待する。

 地元自慢のメロンに集中するコンセプトは今後も揺らがないと言う西巻さん。「店の知名度が急上昇したことで、各地のアンテナショップからワン・テーマ型のノウハウを聞かれる機会も増えてきた。常にコンセプトを再認識しつつ、前に進みたい」

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 <にしまき・こうじ 1980年、車力村(現つがる市)出身。五所川原高校-弘前大卒。2003年に車力村役場入庁。税務課、商工観光課から県市町村課出向。その後つがる市企画調整課から県東京事務所へ出向し、19年から現職の市東京事務所産業振興係長>