津軽三味線の演奏シーンに臨んだ駒井さん。目をつむり、曲に集中していた=27日夜、弘前市
ヒロイン相馬いとの祖母役で出演する西川洋子さん

 津軽地方でロケが行われている映画「いとみち」で鍵となるのが、駒井蓮さん(青森県平川市出身)演じるヒロイン相馬いとが劇中で奏でる津軽三味線だ。いとの祖母役として津軽三味線の名手・故高橋竹山の一番弟子で青森市の西川洋子さん(74)も出演、セッションシーンの撮影も今後控えている。「津軽三味線に触れたことがなかった」という駒井さんは昨年末から津軽三味線を猛特訓。このほど弘前市内で行われた物語のクライマックスを飾るシーンの一つでは、メイド服姿で見事なバチさばきを披露した。

 「ベベンベン」。27日夜、力強い三味線の音とともに現場の空気が一気に静まり返った。演奏した曲は「津軽あいや節」。最初は閉じていた駒井さんの足は曲に集中するとともに徐々に開き始め、時折目を閉じたり、時折笑顔を見せたりしながら純粋に演奏を楽しんでいる様子だった。最後までミスなく見事に弾き終えると、スタッフからは大きな拍手が送られた。

 朝早くからの撮影に臨んでいた駒井さんは、重要なシーンを前にいつも以上に緊張した表情を見せていた。撮影の合間も移動車に津軽三味線を持ち込み、練習する姿が見られた。

 駒井さんは津軽三味線奏者の小山貢さん(平川市出身)のもとで練習を重ね、駒井さんの指にも、ヒロインいとの名前の由来であり、特訓の証しでもある「いとみち」が見える。撮影の合間、駒井さんは恥ずかしそうに「分かりますかね」などと言いながら指を見せてくれた。

 駒井さんは「最初は全然弾けず三味線はこんなに難しいのかと思い本当に苦労した」と話しつつも「やっているうちに楽しくなりもっとこういうふうに弾きたいと思うようになった」と話した。

 一方、リズムを取りながら現場で演奏を見守っていた西川さんは、演奏後に駆け寄ってきた駒井さんに対し「泣かせないで」などと言いながらこらえ切れない涙を拭った。「自分の若いときや(亡くなった)姉のこと、いろんなことを思い出して」と西川さん。

 昨年末、青森市安方で切り盛りしてきた正調民謡の店「甚太古(じんたこ)」を閉店。両手に変形性の関節炎を患い「バチを持つのも容易ではなかった」。約8カ月ぶりに触れた三味線は少しずつだが感覚を取り戻しつつあるといい、「良い作品に携わらせてもらった」と今後の撮影に意欲を見せた。

【関連リンク】ハナサカ