「コロナ禍の中だが、お客さまとのコミュニケーションは重視したい」と岩佐店長=東京・内幸町の8base
提供する料理の一例。八戸圏域の産品がふんだん

 「田子牛は絶品の柔らかさ。八戸前沖サバを食べたら他のサバは食べられないかも」。東京・内幸町に10日開業した八戸都市圏交流プラザ「8base(エイトベース)」店長で、調理も担当する岩佐真臣さん(46)=都内在住=は、八戸市と周辺7町村の食材の魅力を熱っぽく語る。

 埼玉県出身。「今年7~8月、研修のため八戸市などを訪ねた。青森県に行くのは初めてだった」。8baseで提供する食材の生産現場や飲食店を精力的に見て歩いた。「丁寧な仕事ぶりに感銘を受けた。生産者らと直接会えたのは大きな意味があった」

 料理人になる前は自動車整備士。難しい資格をいくつも取得したが、業界の未来を見通せなかった。20代半ばで決心し、飲食業界へ転身。経験と修業を重ね35歳で独立、鶏料理専門店を開業した。素材にこだわり真面目な仕事が生み出す料理は評判だったが、大きな店舗の隅々まで神経を行き渡らせるのに苦労した。

 そんな時、8baseの運営を受託した八戸の料理店「金剛」から、店長を引き受けてほしいと話があった。「私自身、もっといろいろ経験を重ねて勉強したいと思っていた」。鶏料理店を経営し、地方には埋もれた極上素材があることを実感していた岩佐さん。次のステップに進む時だ、と店長就任を決断した。

 八戸圏域での研修は2週間以上に及んだ。主に農産物や水産物の生産現場を回り、地酒の酒蔵にも足を延ばした。サバなど魚介類の良さは聞いていたが、田子牛や青森シャモロック、馬肉など食肉の魅力も発見した。「野菜もそう。アピオスという好食材を初めて知った」。加えて、物販ブースで販売する八戸圏域の産品についても見識を深めた。8baseから発信する「八戸圏域の輝き」のイメージが膨らんだ。

 「家族みんなが楽しめる店にしたい」と岩佐さん。実直な目標の背景に、子どもから大人まであらゆる世代を満足させるという自負がうかがえる。多彩なおつまみを添えて地酒の飲み比べができるセットはお父さんに、鶏料理店の経験が生きる地鶏を使ったディナーグランドメニューはお母さんにお勧め。子どもたちには「新郷のソフトクリームがイチ推し。南部せんべいとのコラボを楽しんで」。

 8baseは八戸圏域ファンの拠点機能も持つ。工夫を凝らしたイベントを随時開き、交流人口拡大を目指す。「例えば地酒や南部裂き織りのワークショップなどを通し、歴史や文化も広めたい。ここだけで体験できるストーリーに引かれリピーターが増えれば、きっと地域活性化につながる」。目を輝かせた。

 <いわさ・まさおみ 1973年埼玉県春日部市出身。高校卒業後に自動車整備士となり、2級整備士と検査員の資格取得。25歳で飲食業へ転身。レストラン経営会社勤務、鶏料理店経営などを経て現職。8baseは日比谷OKUROJI(オクロジ)内。営業は午前11時~午後10時。年末年始定休>