「新人賞の作品展は幅広く多くの人に見に来てほしい」と話す西川さん
「病み上がり時計」(中央)など西川さんの造形作品

 本年度のJAGDA新人賞(日本グラフィックデザイナー協会主催)に、青森県八戸市出身の西川友美さん(33)=都内在住=が選ばれた。日本を代表するクリエイティブディレクター・佐藤可士和さんやアートディレクター・森本千絵さん(三沢市出身)もかつて受賞したグラフィックデザイナーの登竜門。「懸命にやってきたことが評価された」と喜びをかみしめる。

 小学生から高校生までバスケットボールに熱中。また絵も得意で、頼まれてクラス全員の似顔絵を描いたりする子だった。高校時代は進学先に悩んだが、「女子選手の体に合ったトレーニング理論を学ぼう」と日本女子体育大学を選んだ。

 学生になり、将来を考えた。自分は教職の道に行くのか。勤めるなら何の仕事か。絵は好きだったが、心ない批評を受けた経験からこの頃までに描くのを止めていた。それでも「自分は何がしたい? と問い、答えは絵だった」。再びペンを取り、親友の協力で学内で初個展を開いた。アルバイトしてでもイラストレーターになると決めた。父に話すと、大学の学費は4年目も出すから有効に使えと言ってくれた。「それで3年で大学を辞め、デザイン専門学校に入ると決めた。父が背中を押してくれた」

 専門学校卒業後、現在の事務所にデザイナーとして入社。しかし、センスが良い-と高く評価される作品の理解に苦しみ、自信を失った。とにかく、自分の作品への批評を真剣に受け止め続けた。「他人よりできないんだから、その分懸命にやるしかないと打ち込んだ。すると徐々に自分だけの『色』が見え始め、それでJAGDA新人賞に応募した」。初応募から3年目での栄冠。「懸命に取り組んで評価され、いただいた賞。重さを実感した」

 プロのデザイナーを「自分のこだわりを持ちつつ発注者の意向と合致させる。『自分の色』も請われれば出すがそれは手段の一つ」と認識する。一方でアーティスト西川(c)友美としては強く「自分の色」を出す。かわいさと不思議さを内包するキャラクター、シンプルで細部も描く独自世界。「全てを受け入れる圧倒的な肯定感を表現している」

 デザイナーのレベルアップはアーティスト活動に反映されると考える。「見た人がハッピーになり、業界でも認められる作品、劣等感やネガティブさも受け入れ、笑いに変えていく作品を作りたい」

にしかわ・ともみ 1987年八戸市出身。八戸西高校卒。デザイン事務所「10」デザイナー。2018年、公募展グラフィック「1_wall」グランプリ。JAGDA新人賞展2020佐々木俊・田中せり・西川友美は8日~10月15日、東京・銀座のクリエイションギャラリーG8で>