「この災いを乗り切り、ライブハウスで皆と会いたい」と思いを語るタマさん=東京・渋谷のワハハ本舗
ライブ会場の店主・牧野さん(手前)にCDの売り上げを贈るタマさん(右)(ワハハ本舗提供)

 ♪ライブハウスで会いましょう きっと何かが待ってるから…。

 新型コロナウイルスで存続の危機にある全国のライブハウスを支えたいと、7月に新曲「ライブハウスであいましょう」を出した青森市出身のミュージシャン・タマ伸也さん(51)。どこか懐かしい曲調と情緒豊かな歌詞は、ライブ開幕前のわくわく感があふれる。

 「自分の原点で人生の一部」というライブハウスが閉店に追い込まれるなど苦しんでいるのを見過ごせなかった。新曲は3月に作ったが、スタジオが使えず録音できないためネットでライブ配信した。これを見たヒマラヤン下神さん(米米クラブ)がタマさんに提案した。「CDにして全国のライブハウスに広げよう」

 5月、都の外出自粛要請緩和後のレコーディングには下神さんも参加。7月中旬に完成したCDは希望するライブハウスに置き、売り上げ全額を店に贈ることにした。「自分にできることで、店に何かを還元したいと思った」とタマさん。CDの制作費などは、所属事務所「ワハハ本舗」の久本雅美さんら有志から募った善意で賄った。

 多くのアーティストがライブを行う神奈川県藤沢市の食堂「中華三番」では、タマさんがCDを持ち込みファンに販売、売り上げを店に贈った。3~4月はライブを開けなかったという店主の牧野ひとみさん(60)は「タマちゃんの男前ぶりに感動。心強い存在です」と声を震わせた。

 コミックバンド「ポカスカジャン」のボーカルで、ソロでも活動中。サッカーJ3ヴァンラーレ八戸の公式応援歌を歌い、濃厚な津軽弁の曲「わだばフォークの鬼になる」が注目されるなど故郷との絆は深い。恒例の全国ツアーが今年もできるか、まだ不透明な状況だが「落ち着いたらやりたい。できれば青森でも」。

 自身の仕事もコロナ禍で大きく減った。「自粛期間中、自分はやはり歌をつくる人間なんだと気づいた。音楽は不要不急のものかもしれないが、皆が協力しないと越えられないような試練に直面したとき、互いの気持ちを届けるものでもある。東日本大震災もそうだったし、今もそうなんだとあらためて思っている」

 新曲CDは税込み550円。主要サイトで配信もされている。問い合わせは、ワハハ本舗(電話03-3486-2666)へ。

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 <たま・しんや 1968年青森市生まれ。青森南高校を卒業し上京、アマチュアバンドで活動。96年に3人でポカスカジャンを結成、プロ活動開始。CMソング「ガリガリ君のうた」などが注目される。ソロではフォーク歌手として活躍する。青森市観光大使>