感染が判明した開業医の60代男性が経営しているとみられる医療機関には、玄関に休診を告げる掲示板が置かれた=10日午後、青森市内

 新型コロナウイルス感染が確認された青森市の60代男性が営む医療機関名について、同市は「感染防止に必要な項目は公表するが、それ以外のプライバシー等に関わる項目は公表しない」として、明らかにしていない。男性が健康診断を行った高校名についても同様の対応で、4月に医療機関名を公表した八戸市とは対照的となっている。

 青森市は10日に発表した男性の行動歴の中で、男性が6~9日に自身の医院で診療業務を行い、8日に「高校の校医」として健診を実施した-などと説明。

 小野寺晃彦市長は、記者会見で医療機関名を非公表とする理由について「不特定多数の人たちが訪れる施設であれば、公表も考え得るが、今回は全ての人を特定することが可能なので、こういう対応を取る」と述べた。

 また、男性の健診を受けた高校生350人に対して市が健康観察を行うことになったにもかかわらず、高校名を公表しないことについて、小野寺市長は「人数と感染の内容は直接関係しないが、不安に思う人たちもいると思う。(対象者には)教員と手分けしながら、本日のうちに連絡したい」と理解を求めた。

 男性が経営しているとみられる医療機関には10日、「休診とさせて頂きます」との掲示板が出されたが、通常なら診療日のため知らずに訪れた人も。30代女性は「なんで急に休診なのか。電話してもつながらない」と困惑気味。別の60代男性は「病院名は公表すべきだ。自分が診察を受けた所かどうか、いち早く知りたいと思うのが普通では」と話した。

 県内で開業医が感染した事例としては、八戸市が4月に「どの医療機関か市民に不安が広がる恐れがある」として、本人の了解を得た上で公表したケースがある。

▼地域外来「影響ない」/市医師会副会長 医療態勢も現状維持

 青森市の開業医が新型コロナウイルスに感染したことを受け、感染疑いのある人たちを診察・検査する同市の「地域外来・検査センター」の運営に協力する同市医師会の近藤博満副会長は10日、この開業医が同センターの業務に関与していないことを明らかにした上で「今後の受け入れ態勢に影響はない」と説明した。

 同市医師会は、地域外来(市急病センター)と検査センターに医師を毎日2人ずつ派遣しているが、近藤副会長によると、感染した開業医はローテーションに加わっていないという。

 市は開業医が自らの医院で診察した240人と、市内の高校の健康診断で診察した350人を健康観察し、必要があれば地域外来を受診してもらう方針を示している。受診者数が増える可能性もあるが、近藤副会長は「現時点で受け入れ態勢に相当数の余裕があり、医師の数などを大きく変える必要性はない」と語った。

 また、開業医は原則として診察時にマスクやフェースシールドを着用するなど感染防護策を万全にしており、自らの医院での診察や高校の健診では「感染が広がる可能性は低い」との見方を示した。