内覧会であいさつする田根さん
弘前れんが倉庫美術館の平面図。丸数字は「ぐるりフォト」の番号を示しています。記事の下にリンクがあります。

 明治・大正期に建てられた青森県弘前市吉野町の旧吉井酒造煉瓦(れんが)倉庫を改修した弘前れんが倉庫美術館が、11日にグランドオープンを迎える。これまで入館は県内在住の予約者に限られていたが、制限なく観覧できるようになる。10日は報道関係者向けに内覧会が開かれ、設計を手掛けた建築家の田根剛さん(40)が東奥日報のインタビューに「倉庫が重ねてきた歴史、記憶を未来に残し、地元の方々の人生に関わる建物になれば」と思いを語った。一問一答は次の通り。

 -美術館の建物は約100年の歴史がある。

 「壁のしっくいを剥がすと、積み上げられた手作りの煉瓦がしっかり残っていた。歳月を重ねた物が、語りかけてくるようだった。残せる物は残し、新たに積んだ煉瓦とともに、過去と未来が境界なく混ざり合う空間にしたかった」

 -弘前市内には他にも歴史的な建物が多い。

 「最初に弘前を訪れたのは2017年1月。弘前駅を降りてすぐ『あ、ここは普通の街じゃないな』と。城下町の基本構造があり、煉瓦造りの教会や昭和を感じさせる建物もある。いろんな時代を経て街が息づいている。文化のある街だなと思った」

 -展示作品や観覧者が入った美術館の印象は。

 「空間が急に生き生きとしはじめた。作品と向き合ったり、煉瓦を触ったり、隣のカフェ棟でお茶をしたり、いろんな人のいろんな思いが建築に集まってくるのがとてもうれしい」

 -新型コロナウイルスの流行でグランドオープンが3カ月遅れた。

 「ここは市民のためにつくった施設。まずは地元の方にお披露目して、楽しんでもらった上で全国から受け入れるというのは、本来あるべき姿。そういう意味では、逆にいいスタートが切れたと思う」

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 <たね・つよし 1979年東京生まれ。パリを拠点に活動し、これまでエストニア国立博物館(2016年)、Todoroki House in Valley(18年)などを手掛ける。フランス文化庁新進建築家賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞、アーキテクト・オブ・ザ・イヤー2019など受賞多数>

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