健やか協力隊員の研修風景

 健康長寿は社会の総合力の果実です。総合力とは、生活習慣、健診受診、病院受診など、そしてその基本にある教育、文化、経済、気候などを指します。

 その中でも、より大切なものは人間の存在感だと思います。

 本連載の第2回でも書きましたが、青森県の短命対策では中年層(40~60代)の死亡率を低下させることがポイントです。

 しかし、中年層だけピンポイントで元気にすることが、果たしてできるでしょうか? この世代が元気だということは、それ以外の年代、つまり高齢者も、そして若者も皆元気だということだと思います。

 筆者は、青森では「長野みたいに長生きしても、寝たきりになって若い人に迷惑をかける」と周囲からへこまされ続けてきました。

 そんな時、長野県の前の健康長寿課長さんから驚くことを言われました。「先生、もう長野県は“日本一の長寿”は大した自慢ではないんですよ」と。

 少しムッとして「では一体何が自慢なのですか?」と尋ねました。そうしたら、「65歳以上のお年寄りの就業率が日本一高いんです」と。「本当か?」と思い調べてみました。そうでした。一番は農業のようです。

 それまでは、なんとなく長野のお年寄りは、元気だから仕事をしているのだろうと思っていました。しかし、ちょっと待てよ。「お年寄りが仕事をしているから、つまり社会的な役割を持っているから長生きしているのではないか」と思うようになったのです。

 地域での役割や仕事を持てば、自然に集いに出かけ、歩数も増えます。社会活動が増すことで頭脳も使います。これが長生きにつながる、と。

 高齢者見習いの筆者(来月で69歳)ですが、最近、会話が聞き取りづらくなったり、物忘れがひどくなりました。加えて集中力、体力の減退も痛感します。そろそろ「引退」の二文字が頭をよぎりました。

 そんな折、大きな喝が入りました。

 昨年度、県医師会健やか力推進センターで活動を一緒に行う仲間の募集を始めました。名付けて「健やか協力隊員」。全県3カ所で養成講座を実施し、233人(男性42人、女性191人)の協力隊員が誕生しました。

 その年齢層を見てびっくり。表のように、60歳以上が136人(58%)、とりわけ70歳以上が58人、80歳以上が5人もいたのです。もちろんほぼボランティアです。

 筆者はこれを見て、年寄りを気取っている自分を恥ずかしく思いました。

 私よりはるかに先輩が、まだ自分の体力と知力を駆使して社会の役に立ちたいと目を輝かせているのです。

 筆者にはもう一つ夢があります。それは、このようなボランティア活動はもちろん尊いのですが、できれば高齢者が少しでも長く仕事に就く環境がほしい。その一つが健康づくりの仕事であればいいなと。

 高齢者が存在感をもって生きることのできる社会、それこそが真の長寿社会だと思います。