子どもたちに新しい技法(ぎほう)の版画(はんが)に親しんでもらおうと、夏休み期間の7月30日〜8月17日、青森市内の中学校3校で版画ワークショップが開かれました。各校の美術部員(びじゅつぶいん)たちが、「メディウムはがし刷り」という技法で版画制作(せいさく)に取り組みました。
ワークショップは8月16日まで青森市で開かれた「棟方志功展(むなかたしこうてん)」の併催(へいさい)イベントで同展の実行委員会が主催しました。「あおもり国際(こくさい)版画トリエンナーレ2010」で棟方志功木版画特賞を受賞した版画家三瓶光夫(さんぺいみつお)さん=埼玉県(さいたまけん)、日本版画家協会会員=が西、新城、南の各校を訪問(ほうもん)し、技法を分かりやすく教えました。
この技法は、三瓶さんが講師(こうし)を務(つと)める多摩美術(たまびじゅつ)大学で研究されています。メディウムとは絵の具を固着(こちゃく)させたりする溶剤(ようざい)のこと。絵の具を紙に写し取るための糊(のり)の働きをします。ばれんやプレス機といった専用(せんよう)用具を使わなくても、アクリル絵の具にメディウムを混ぜ込むことで容易(ようい)に版画が制作できます。
生徒たちはボール紙にクラフトテープを貼(は)り合わせて版(はん)を作り、ボールペンの先でへこますように絵を描(えが)きました。その後、思い思いに絵の具を塗(ぬ)り、手早く刷り紙を載(の)せて接着(せっちゃく)させます。乾燥(かんそう)させてから慎重(しんちょう)に刷り紙をはがすと、きれいな多色刷り版画が完成しました。
仲良しの家族を題材にした新城中学校の工藤百華(くどうももか)さん(3年)は「今までやったことがない手法が新鮮(しんせん)で楽しくできました」。
車を描いた南中学校の櫻庭嗣門(さくらばしもん)君(3年)は「木版画と違(ちが)って色を多く使えるし、手軽にできるのでとてもいい技法です」。飼いネコを描いた齋藤鈴(さいとう・りん)さん(2年)は「色塗(いろぬ)りが楽しい。こんなにきれいに色が付くとは思いませんでした」と喜んでいました。