ピカッ!と人気の「弘前の煮玉子屋さん」の煮玉子
店舗前で石岡幸子さん㊨と七菜さん
土産として気軽に持ち帰れる、真空パック(3個入り)も

 青森県弘前市の小さなお店「弘前の煮玉子屋さん」が販売している煮玉子が好評です。しょうゆ・塩ベースの味付けながら優しい甘みが感じられ、ファンがじわり増殖中。今年4月には東北自動車道路の青森県外SA(サービスエリア)にも進出する人気ぶりです。鍋の中でグツグツ音を立てながら、じっくり時間をかけておいしさを増していく煮玉子は、毎日1000個以上が売れているのだとか。黒ビールとの相性が良く、お酒のつまみとして購入する男性が多いそうで「100個ください」と県外から足を運ぶリピーターも。ひとつ60円というお財布にも優しい人気煮玉子の秘密を探るため、同店に足を運びました。

■「おふくろの味」を家族3人で販売■

 同店は2010年11月、石岡幸子さんが惣菜を販売する「レタス★キッチン」としてオープン。「昔から食べていた煮玉子を販売したらどうか」という息子・泰樹さんのアイデアから、開業1カ月後には煮玉子の販売を開始しました。5年ほど試行錯誤を重ねて出来上がった煮玉子は人気商品となり、昨年9月に店名を「弘前の煮玉子屋」に改名しました。泰樹さんと妻の七菜さんも加わり、今は家族3人で協力しながらお店を切り盛りしており、泰樹さんが店の経営や配達、幸子さんと七菜さんは煮玉子づくりを担当しています。

■180個をきれいに10分で!―■

 「毎日2000個以上煮てますね」。こう話しながら幸子さんは、1時間じっくり火を通した卵の殻を次々と手際よくむいていきます。つるりん地肌のゆで玉子を、ぐつぐつと煮立った秘伝の煮汁に一気に投入すると、時間とともに褐色の煮汁色に染まっていきます。でも、それで完成じゃありません。冷蔵庫でじっくり寝かせるなど7つの段階を経て、ようやく店内で販売される「完成品」になるんだとか。何と手間暇のかかることか!同店の営業時間は朝7時から夕方の4時まで(不定休、在庫がなくなり次第終了)で、幸子さんは毎朝5時半には店内で作業をはじめます。店内には卵の入った箱が山積み。「ひと箱には180個の卵が入っていて、母は10分ですべてむき終わります」と泰樹さん。幸子さんは「卵を熱湯に入れること。そして、最初に卵の頭を割って、次にお尻の部分へ人差し指で穴をあけると、きれいにつるんっとむけます」と〝早業〟のポイントを教えてくれました。

■「ラーメンには合わない」で秋田進出■

 同店で作られた煮玉子は、地元スーパーや青森県内を走る東北自動車道の津軽SAなど約30店舗で販売されています。今年4月には秋田県の同自動車道「花輪SA」でも販売を始めましたが「花輪SAさんがラーメンに付ける卵を探していると津軽SAさんから連絡があったんです」(泰樹さん)というのがきっかけ。でも、この煮玉子、キャラが立ちすぎて主役のラーメンより目立っちゃいそうで向いていない…。そこで、煮玉子そのものを出店で販売するのはどうかと提案し、とんとん拍子で決まったとのこと。鍋から上げたばかりの温かい煮玉子をその場で食べることができ、道中、空いた小腹を埋めるのにちょうど良い量です。

■煮玉子をきっかけに、弘前を知ってもらえたら■

 煮玉子を求めて県外から足を運ぶお客も多く、土産として気軽に持ち帰れる、真空パック(3個入り)商品も昨年12月末から販売を始めました。泰樹さんは「どんどん県外の人にも煮玉子を食べてもらって、それをきっかけに弘前のことを知ってもらえたら嬉しい」と語ります。さらに、同店の近くには学校がいくつかあり、足を運ぶ学生も多いとか。進学や就職をきっかけに県外へ行く若者が増えていますが、この味を求めて地元に帰ってくる人が増えれば−と期待が膨らみます。弘前市や津軽地方のソウルフードといえば「いがめんち」や「けの汁」が有名ですが、同店の味が弘前の「ソウルフード」と言われる日も、そう遠くないかも。「弘前の煮玉子屋さん」は弘前市稔町7-3 城南ハイツ1階。問い合わせは電話(0172-88-8517)へ。

(あおトピサポーター・高田春菜)