華やかな表演服姿で演武を披露する小田桐さん=3月、東京都内
青森国スポに照準を合わせ、技術を「もっと深めたい」と意気込む小田桐さん

 華やかな表演服をまとって繰り出す、躍動感あふれる剣さばき。八戸市出身の小田桐咲さん(24)=東京都葛飾区=は、武術太極拳の全日本選手権・伝統器械部門で2度の優勝を誇る。10月の鹿児島国体は長拳部門に都代表で出場する。

 大会は「格闘」ではなく「演武」。武術としての姿勢や動作の正しさを競う。器械と呼ぶ武器は刀や槍(やり)などで、小田桐さんは二つの剣を操る「双剣」で2017、19年の選手権を制した。

 競技コートを縦横無尽に駆け回り、時に離れ業を繰り出しながら優雅に剣舞する。現在は中国・安徽省などの武術隊を手本に「女性らしい柔らかさ、凛とした強さのある体の使い方」を体得しようと励んでいるという。

 5歳の頃、日本人学校に勤める教員の父と共に家族で2年間、北京で暮らした。幼稚園の敷地で開かれたカンフー教室に興味を示し、両親に「やりたい」と告げたのが、競技との出会いだった。

 八戸に戻ってからも武術太極拳を学び続け、小学6年からは地元で発足した武術チームに所属。大学に進学後も競技に没頭したが、日本代表を目指して挑戦する覚悟はなかった。

 転機は大学4年の全日本選手権。出場した部門に日本代表は不在だったものの、主要な大会で初めて頂点に輝くことができ、「やっと自分にぴったりの武器や技に出会えた」と自信を深めた。

 さらに19年からは武術太極拳が「公開競技」として国体に加わり、活躍の場が広がった。自身最大の目標も見つかった。5年後に青森県で開催される国民スポーツ大会(国民体育大会から名称変更)で、青森県代表として出場し優勝することだ。

 国体には日本代表の選手も出場しているため、「同じ舞台に立ち、対等に勝負できるチャンス」と捉える。青森開催の25年は、競技年齢を考えると第一線で活躍できる最後の大舞台になるかもしれないとの思いもある。

 もう一つ、地元開催だからこその夢を描く。「私や武術を応援してくれるファンをもっと増やして多くの観客で席が埋まり、みんなが試合を楽しんで盛り上がっている光景を生み出したい」。それが古里への貢献にもなると信じている。

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 <おだぎり・えみ 1996年生まれ、八戸市出身。八戸北高を卒業後、千葉商科大4年の2017年に全日本選手権・伝統競技部門の伝統器械女子で初優勝。19年には2度目の優勝を果たし、20年の鹿児島国体に東京都代表で出場予定。都内で会社員>