中小企業の支援事業を展開する会社で社長に就任した大澤さん=東京都豊島区

 最新の経済情報や経営ノウハウの提供によって中小企業を支援する。青森市出身の大澤徳さん(31)は、中小企業の経営者向けにセミナーや勉強会を企画運営する株式会社・Small Sun(スモールサン)=東京都豊島区=の2代目社長。社員は5人と少数精鋭ながら、会員企業は全国で約1600社に上る。

 スモールサンは人材育成や従業員採用、販路拡大や資金調達など、各分野の専門家100人以上と連携し、全国各地で経営セミナーや会員同士の勉強会を開催。国内外の経済情勢や専門家へのインタビュー記事を会員向けにネット上で配信するなど、経営者に役立つ情報を多角的に発信している。

 会社はもともと、立教大の山口義行名誉教授(金融論)が2008年に立ち上げた。教え子の大澤さんは卒業とともに入社。セミナーの運営や事務など裏方をこなしながら、国内外で新たな事業に取り組む経営者や最新ビジネスを自ら取材し、「現場レポート」として配信している。

 青森県をはじめ地方の企業は、人口減少や少子高齢化で顧客が減り、従業員の採用でも苦境に立たされている。各地に足を運んで経営者と語り合う中で「地方に行けば行くほど、若手の経営者は地域の将来に不安を抱えている」と実感。「いろいろな経営行動の選択肢を取れるうちに新たな一歩を踏み出してほしい」と言葉に力を込める。

 起業家を志して大学時代は経済学を専攻したが、家計が苦しく学費や生活費は全てアルバイト代で賄う必要に迫られた。しかし、その苦学生の立場を逆手に取って「あらゆる業界の裏側を見たい」と決意。ホテルのベルボーイや引っ越し作業員、居酒屋やコンビニエンスストアの店員、時には日雇い労働者と、通算で20を超える仕事に従事し、「現場」で経済を学んだ。

 当時はリーマン・ショックや派遣法改正など、経済に変革の波が押し寄せた時期。日雇い労働者や派遣社員への冷遇に「社会の仕組みは経済的な弱者を想定していない」と肌で感じたという。

 2019年、恩師から社長就任を打診され、12月から経営者の道へ。「これまで培ってきた企業や専門家のネットワークをより深く、広く拡大させたい」と抱負を語る。

 仕事の傍ら、16年には青森県への移住支援を手掛ける一般社団法人あおつな創出プロジェクトの立ち上げに関わった。移住促進のほか、青森県の出身者同士が集える多彩なイベントも企画。「古里から遠く離れてはいるけど、青森とつながっていられる『町内会』のような存在でありたい」と、青森を思う気持ちは人一倍強い。

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 <おおさわ・あきら 1989年生まれ。青森市出身。青森高時代はボート部で県大会優勝を経験。立教大経済学部卒で、現在は中小企業サポートネットワーク(略称・スモールサン)社長、あおつな創出プロジェクト理事を務める。東京都台東区在住>