身ぶり手ぶりを交えながら取材エピソードを語る国井さん

 東奥情報懇談会5月例会が16日、青森市のホテル青森で開かれ、元NHKアナウンサーの国井雅比古さん(69)が「小さな旅して〜人との出会いと発見」と題して講演した。青森県を含む全国各地での取材エピソードや、番組制作の裏話を語った。

 国井さんは東京大学文学部を卒業後、1973年にNHK入社。「プロジェクトX〜挑戦者たち〜」「小さな旅」などに出演、現在はフリーアナウンサーとして活動している。

 青森県にまつわる取材はどれも記憶に残っている−とした上で、中でも青函トンネル工事を取り上げた「プロジェクトX」第3回は、番組の方向性を決定づけた回だったと解説。当初、ゲストには女優を呼ぶ構成だったが、この回、初めて同工事責任者の男性をゲストに招いた。収録中、難工事の様子を紹介するVTRが終わると、男性は体を震わせながら叫ぶように思いを語ったという。

 国井さんは「ベテランのカメラマンが涙を拭う。周囲は静まりかえって、男性のうめくような声だけが響く。僕はそのとき、これこそがドキュメンタリーだと思った」と力を込めた。

 また「小さな旅」で津軽鉄道を取材した際は「厳冬の、ものすごい環境で若い鉄道マンが線路を守っている姿が特に印象的だった」という。国井さんは、今の世の中は経済的な力を尺度にしすぎているのでは−と話し「各地で出会った人々は、その人だけの人生を豊かに生きていた。青森は海も山も良い。日々を充実させていきましょう」と締めくくった。