2月のダイヤモンドステークスで、天皇賞への切符をつかんだミライヘノツバサ(右)(JRA提供)

 3日に京都競馬場(京都市)で行われる中央競馬の天皇賞(GI)に、青森県七戸町の諏訪牧場が生産したミライヘノツバサ(牡7歳)が出走する。中央競馬で最も格式の高いGIレースに同馬が出走するのは3歳時の菊花賞以来。一時は大けがで現役続行すら危ぶまれたが、度重なる試練を乗り越えて大舞台への切符をつかんだ。県産馬の天皇賞優勝は、同じく諏訪牧場が生産した1978年のグリーングラス以来遠ざかっており、関係者は「何とか良い成績を」と期待している。

 ミライヘノツバサは、県産馬として22年ぶりに中央競馬のGIレース(2001年の阪神ジュベナイルフィリーズ)を制したタムロチェリーの孫。曽祖父は諏訪牧場で繋養(けいよう)された英ダービー馬セクレト、祖父は日本軽種馬協会七戸種馬場で繋養された米ケンタッキーダービー馬シルバーチャームという青森県ゆかりの血統だ。

 「体は小さかったが、性格は勝ち気でやんちゃな馬だった」と振り返るのは、諏訪牧場場長の諏訪豊蔵さん(70)。生後約1年間を同牧場で過ごした後、競走馬になるためのトレーニングを積む施設に移動してからは、日に日に体格が良くなっていったという。

 16年1月のデビュー後は順調に勝ち星を重ね、同年10月に3歳最高峰レースの一つである菊花賞にも出走(13着)。翌17年3月には天皇賞の前哨戦・日経賞(GII)で2着に入り、本番での好走が期待されたが脚元の大けがで1年以上戦線を離脱。18年9月の復帰後は上位に入れず、一時は引退も検討された。

 風向きが変わったのは、今年2月に行われた中央競馬有数の長距離レース・ダイヤモンドステークス(GIII、芝3400メートル)。出走16頭中最低人気という低評価を覆して1着となり、県産馬として約12年ぶりに重賞タイトルを手にした。

 このレースに近い芝3200メートルで争われる天皇賞。管理する伊藤大士(だいし)調教師(47)は「心臓が強く、スタミナ勝負には期待できる」と太鼓判を押す。29日の最終調整(追い切り)でも納得の動きを見せたといい、「けが明けでは一番ともいえる出来。天皇賞は特別な舞台。出るからには一番上を狙いたい」と力を込める。

 中央競馬は現在、新型コロナウイルス感染拡大の影響により無観客で行われており、関係者も競馬場への立ち入りが制限されている。諏訪さんも現地での応援は諦め、当日はテレビの前で声援を送るつもりだ。

 「まずは無事に走ってきてほしいという思い。長く活躍して、グリーングラスが制した有馬記念で引退できればうれしい」

 天皇賞の枠順抽選は30日に行われ、ミライヘノツバサは14頭立ての6枠9番に決定。運命の一戦は3日午後3時40分発走する。