黒石市が取り組んでいる子どもの歯列調査の様子

 黒石市は2015年2月に健康都市宣言をしました。体育館に集まった約500人の市民の方々の熱気は忘れられません。以来、高樋憲市長の強力なリーダーシップで健康づくり活動が行われています。その中心の一つが小中学校での健康教育です。

 本県で、弘前大学COIが最初にかかわった健康授業が同市の中郷小学校の5年生でした。

 中郷小の取り組みが始まって以来、市内全小中学校で独自の健康教育(授業)が行われるようになりました。中南地区で、教育委員会、弘前大学による中南地区連携推進協議会が結成され、この地区での健康教育が本格的に進められるようになったのも中郷小の取り組みが伏線となっています。

 授業のやり方は千差万別です。ただ、中学3年生くらいまでには本連載(第12回)で書かせていただいた「健康物語」(人の健康の一生)をイメージできるようになってほしいと考えています。その途中では、子どもたちが自分のこととして興味が持てるような内容にしていけばいいと思います。

 例えば、全員に血圧計を渡して自宅まで持ち帰ったケースがあります。家庭で、家族(両親、祖父母、兄弟姉妹)の血圧を実際測定してみる。自分も何回も測定する。そうすると、「どうして血圧の値は測るたびに違うのだろう?」「どうしてお父さんは自分より高いのだろう?」「上と下の血圧の意味は?」「そもそも血圧って何?」など次から次へと疑問がわいてきます。

 その時点で血圧の意味を解説すると、子どもたちは血圧の知識はもとより、健康全般に対する知識と興味が増します。知識を得た人間のその後は全く違います。目線が上がるというか、次の行動へのステップが違ってきます。それが人間です。

 また昨年からはもう一つの大事業、「こどもの歯列調査」が始まりました。これは、市、市教委、小学校、南黒歯科医師会、弘前大学COIの共同事業という全国でもまれなものです。

 具体的には、あまり注目されなかった歯列を調べることで、その子どもの生活習慣、姿勢との関係を明らかにし、その後、歯の保健指導から、健康教育まで広げていきます。歯周病がある人には、糖尿病、心臓病、動脈硬化症が多いことが科学的に明らかになってきました。そのような背景で、近年、歯科・口腔(こうくう)の保健教育を健康教育の真ん中に据えていこうという流れが大きくなってきました。

 黒石市の健康づくりは学校での健康教育や子どもの歯列調査が一つの例ではありますが、その他にも多くの健康づくり事業が展開されています。短命市脱却を大いに期待しています。