企業での啓発型健診の様子。検査結果を基に説明と指導を行う

 私は今、県総合健診センターに所属し健診の仕事に従事しています。

 そこでの一番の悩みは、せっかく健診を受けたのに、受診者が受診結果を基に健康の勉強を十分にできていないことです。海外ではこのことを問題視している研究者もいます。

 通常、健診後しばらくして結果が送られてきます。そこには結果に対する説明が分かりやすく書いてあります。しかし、ほとんどの人がその先に進めません。その理由は二つ考えられます。

 (1)分かりやすい説明が書かれていても、まずそれを読まない。読んだとしても健康全体や基本を理解するのは難しい。

 (2)一般の健診は、がん、脳卒中、心臓病(心筋梗塞)など命に及ぶ病気を診る健診とは違い、差し迫ったものとして感じにくい。

 健診は、自分の結果を手にして健康の勉強ができる最適の機会です。残念ながら、現状の健診システムはこれに十分に応えているとは言えません。

 これを解決するためには以下のことが必要です。

 (1)より日常生活に近い健診項目、QOL(生活の質)に近い健診項目を加える(2)健診結果をすぐに目にすることができる(3)その健診結果を手にして、その場で健康の勉強ができる(4)そのことで、自分のこととして感じることができる(5)しかも、楽しくやりたい。

 弘前大学COIではそのような健診を提案しています。名前はQOL健診(別名啓発型健診)です。

 QOL健診の具体的内容は以下の通りです。

 (1)測定内容は、通常の内科健診(メタボ健診など)に加えて、ロコモ健診(骨密度、体力測定)、口腔内検査、そしてうつ病・認知症検査。つまり総合的健診。

 (2)このほかユニークで楽しい測定項目がある。例えば、機器に手を乗せるだけで野菜の摂取量が推定できる検査、10~40センチの四つの台から片足または両足で立ち上がる検査、おなかの中の脂肪を測定する検査-など。

 (3)受診者はこれらの結果を数時間で手にし、その場で楽しく分かりやすく健康の勉強ができる。

 QOL健診は楽しく受けて、健康教養(ヘルスリテラシー)を身につけることを目指しています。

 弘前大学COIでは、QOL健診をすでに青森県のいくつかの企業で実施しています。また、昨年12月には、ベトナムのハイフォン市の日系2企業でも実施しました。いずれの会場でも受診者は楽しく検査を受け、笑い声が絶えませんでした。来年度からはさらにいくつか企業での実施を計画しています。

 読者の皆さんの会社や町内会の集いの際に、このQOL健診を取り入れてみませんか。楽しい健康づくりができるはずです。相談先は県医師会健やか力推進センターです。向こう一年は格安料金でお手伝いします。

 そうすることで、短命県返上の輪がさらに大きくなっていきます。

 ※県医師会健やか力推進センターの連絡先は電話017-763-5590、ファクス017-763-5591、Eメール aomed-sukoyaka@circus.ocn.ne.jp