岩木健康増進プロジェクトの風景=岩木文化センター「あそべーる」

 岩木健康増進プロジェクト(以下岩木プロジェクト)が始まった2005年、岩木町(当時)のみなさんを前に言いました。「今はまだ“いわき”というネームバリューは、リゾートで有名な福島県のいわき市に負けていますが、あと10年したら逆転させますよ!」と。笑われました。

 弘前大学COIの中心活動が、岩木プロジェクトです。

 岩木プロジェクトとは、弘前市岩木地区(旧岩木町)で2005年から毎年5、6月の連続10日間行われる大規模な健康調査です。現在15年目に入っています。一人当たりの調査項目数は世界一で2千項目を超えます。そのため、調査にかかる時間も長く、平均5時間にも及びます。受診者は毎年約千人です。

 プロジェクトは、最終目標を青森県の短命県返上に置いています。なかでも、生活習慣病と認知症の予防が中心となっており、そのため、網羅的な調査測定を行います。

 岩木プロジェクトには、県内外から毎年多くの見学者が来ます。その方たちが一様に驚くのは、岩木プロジェクトの規模の大きさです。

 ただ、私が驚いてほしいのは別の所にあります。それは岩木プロジェクトに産官学民が集結しているところです。健診を行う側は、企業100人、大学100人、学生50人、弘前市職員20人、弘前市民20人、健診センター職員20人で合計300人を超えます。

 しかも、みなさん受診者にやさしく接して、笑い声が絶えません。普通の健診では見られない光景です。受診者を含めみんなで短命県返上に向かっているからです。

 岩木プロジェクトの注目点はそのビッグデータです。

 岩木ビッグデータは、AI(人工知能)を用いた多くの研究、企業の商品開発、地域・企業・学校での健康づくりや健康教育に役立ちます。世界に類のないまさに打ち出の小槌(こづち)です。

 このようなことで、岩木のビッグデータに約30の企業が集結しています。また、弘前大学の全学部、医学部のほとんどの講座が参加し、これに、自治体や市民も加わったプラットフォーム(みんなが集まる場)になっています。また、学生の実習の場としても活用されています。学生にも広く社会に目を向けてほしいからです。

 昨年度と本年度の岩木プロジェクトに沖縄県北部市町村から議員のみなさん、首長さんが見学に来ました。沖縄県も今、平均寿命ランキングが急落しているからです。その結果、昨年11月に名護市の名桜大学を中心に大規模な健診調査(やんばる健診)が始まりました。京都府立医科大学は長寿で有名な京丹後地方で高齢者の健康調査を始めています。和歌山県立医科大学のかつらぎ町の健康調査も同様です。

 このように、岩木プロジェクトが今、全国に広がりつつあります。