日本人の平均寿命は男女とも、常に世界ランキングでトップ争いをしています。時に、人口小国のアイスランドなどにトップの座を譲ることはあります。しかし、人口規模(日本は世界10位の人口大国)から見ると、男女とも世界一の長寿国と言い切っても許されるでしょう。

 特に女性です。例えば、2015年の国勢調査で90歳の女性の人口は29万人でした。彼女たちが生まれた1925年の女性の出生数は106万人で、このうち乳児死亡数(15万人)を差し引いた91万人のなんと30%強が90歳を迎えています。

 今回は、日本人の長寿と青森県民の短命(日本の都道府県の中では最短ということ)を比較しながら、平均寿命の背景について考えてみましょう。

 第二次世界大戦後の日本は長寿国ではありませんでした。1955年の欧米先進国の平均寿命を見ると、男性では65~68歳、女性は70~75歳でしたが、日本は男性63.6歳、女性67.8歳と短かったのです。

 その後の40年間で日本は欧米をごぼう抜きにし、世界の長寿国に名乗り出ました。その最大の理由は欧米の数倍もあった脳卒中の死亡率が激減したことです。

 日本人の長寿の要因を挙げてみます。

 死亡統計から見れば、日本人は各年代、どの死因(脳卒中を除けば)の死亡率も世界でほぼ最低の国です。

 日本人は比較的スリムですが、これには、低カロリー、低脂肪、高繊維の日本食が役立っています。加えれば、日本食は、種類、調理法(生、焼く、煮る、蒸す、炒めるなど)ともに多彩で、栄養のバランスにも富んでいます。ただ弱点は塩分が多いことです。

 お酒ですが、日本人にはアルコールを解毒する酵素の働きが弱い人が約半分を占め、そのためにアルコール摂取量が欧米人(ほとんどが酵素の働きが強い)より少ないことも、長寿に幸いしています。

 かつて、男性の喫煙率は高かったのですが、それでも近年著しく低下してきました。具体的には、1973年の日本たばこ産業(JT)=当時・日本専売公社=の喫煙者率調査によると、成人男性の喫煙者率は83.7%でしたが、2018年の調査では27.8%と、約50年間で50ポイント以上低下しています。

 一方、女性の喫煙率は欧米先進国より低いです。日本の保健・保険・医療制度は世界的にみても、言われるほど悪くありません。日本の医師数の割合が欧米先進国より少ないにもかかわらず日本の医療レベルが高いことは知られています。

 近年、悲惨な殺人事件が後を絶たず、格差社会も叫ばれていますが、外国と比べると顕著とは言えません。

 このような要素を下支えしているのは、日本の高い経済力と穏やかで、平等を尊び、健康に関心を寄せる国民性です。それこそ総合力で勝ち得た世界一です。

 このような日本人の長寿の理由を一つずつ吟味してください。そしてその逆を考えてください。それは、青森県の短命の理由に重なります。

 日本人の長寿は、短命県返上を目指す上で大きな参考になります。