市町村の健康宣言の風景

 ある日、ある町の保健師さんから、健康づくりの助言を求められました。私は「皆さんだけの力では無理です。町長さんと会わせてください」と、お答えしました。

 全県の保健師さんや健康づくり担当の皆さんにお聞きします。

 皆さんが一生懸命仕事しているのは知っています。でもあいも変わらずの短命県、短命市町村です。どうしてですか?

 答えは、県全体、市町村全体が動いてこなかったからです。健康づくりがどちらかと言えば“地味”な存在だったからです。

 その後、町長さんとお話ができ数カ月後、健康宣言が出されました。

 マスコミでは、いつも青森県民がカップラーメンを食べ過ぎて短命だ、みたいな取り上げ方をされます。「じゃあ、どうしてそうなんですか?」への突っ込みはあまりありません。

 2013年に青森市で第1回平均寿命サミットを開催し、長野・沖縄・青森県の関係者が、健康づくりを話し合いました。

 そこで改めて気づいたことがあります。それは3県ともに、喫煙・多量飲酒などの害や野菜摂取、運動の励行を訴えていたことです。

 ただ、もうそれらは、分かりきったことなのです。問題は、その根本の社会全体に対する対策です。そこには、経済、文化、教育、気質、気候など、大きな問題が横たわっています。

 そのためには、まず社会全体が盛り上がり、そしてリーダーが役割を果たし、最終的には市民がヘルスリテラシー(健康教養)を身につけ、行動を起こすことが必須です。健康づくりの担当者だけで短命県返上はできません。

 ところが、市町村でも企業でも学校でも、組織はどこでも、トップがやると言わない限り動きません。ですから、平均寿命対策や健康づくりもトップの見識とリーダーシップが問われます。

 5月29日、新郷村で健康宣言が出されました。これで県内全40市町村が健康宣言を出したことになります。このような現象は青森だけで見られるものです。

 市町村長による健康宣言には以下の利点があります。

 まず、組織のトップによる健康宣言で、全体で取り組むという動きが生まれてきます。健康づくりは担当課のスタッフや保健師にやらせておけばいいや、では短命返上はできません。

 もう一つの利点は、トップが、健康リーダー(保健協力員、食生活改善推進員など)に目を向けて、リスペクト(尊敬)するようになるということです。そうすると、リーダーのプライドと存在感が育ち、健康づくり活動が本格化します。組織や社会の中にそういう視点や環境がない限り、短命県返上はできません。