「時間よ戻(もど)れ」「楽しく生きる」「まだ帰れない」「いのち」−。これらはすべて、東日本大震災(ひがしにほんだいしんさい)の影響(えいきょう)で県外から青森市に避難(ひなん)している人たちが書いた言葉です。被災地(ひさいち)の子どもたちによる書の作品展(てん)「書きましょ IN 青森」が7〜13日、青森市役所など2会場で開かれました。作品からは前向きに青森での生活を送る決意、故郷(こきょう)を思うさびしさなど、いろいろな思いがにじんできます。
作品展は、書道家の矢野きよ実さんが、全国にいる被災者(ひさいしゃ)のもとを訪(たず)ね、書を通して「心の声」を聞く「無敵(むてき)プロジェクト」の一環(いっかん)。昨年7月に同市を訪(おとず)れた矢野さんと、県外避難者の子どもや親たち23人が一緒(いっしょ)に書きました。
筒井小4年の菅野結愛(かんのゆあ)さん(10)と母親の恵(めぐみ)さん(35)も参加。2人は福島県南相馬市で暮(く)らしていましたが、震災後、学校環境(かんきょう)が一変したことから、京都に移(うつ)り、一昨年の冬に青森に来ました。
「むだな日は ないっぺよ」「一生旅」と書いた恵さん。「震災の日は嫌(いや)な日ではあるけど、今の自分があるのはあの日があったから。またどこかに移るのか、一生旅し続けるのかという不安はあるけど、楽しく生きていきたい」という思いを込(こ)めました。
結愛さんは「とり戻す町」と書きました。「津波(つなみ)で流された街が元に戻ってほしい。よく遊んでいた公園も(除染(じょせん)の関係で)今は遊べなくなっているので、また遊べるようになってほしい」と言います。「じいじとばあば」という書もあり、「南相馬にいるじいじとひいばあちゃんの所に帰りたい」と話しました。
今回の書作品は、5月に秋田市で開催(かいさい)する「東北六魂祭(とうほくろっこんさい)」に出陣(しゅつじん)する青森ねぶたの送り絵に使われます。
2011年3月11日の東日本大震災から4年がたちました。あの日を境(さかい)に暮らしが変わった人たちがたくさんいます。みなさん、そのことを決して忘(わす)れないでください。