■ 学芸員/作品と鑑賞者つなぐ (2015年1月27日掲載)

「地元作家の功績を掘り起こすため、研究を続けたい」と語る高橋さん
 

 美術館(びじゅつかん)、博物館、動物園、水族館などで働く専門職(せんもんしょく)と言えば「学芸員」です。調査(ちょうさ)や研究を行い、来館者に楽しんでもらう企画(きかく)を考え、大切な作品を収集(しゅうしゅう)・保存(ほぞん)するなど、さまざまな仕事をしています。今回紹介(しょうかい)する県立美術館の学芸員・高橋しげみさん(44)は、同館の学芸員6人のうち唯一(ゆいいつ)の地元出身者。「50年、100年後の青森に誇(ほこ)れるものを残したい」という熱い思いの持ち主です。

 弘前市で育った高橋さん。小中学時代はバスケットボールに熱中し、「美術には全く興味(きょうみ)がなかった」そうです。高校時代は好きだった英語を生かす仕事に就(つ)ければと考え、地元の弘前大学人文学部に進学しました。

 大学で受けた「西洋美術史」の授業(じゅぎょう)をきっかけに、美術のおもしろさを知ります。「本当は県外の大学に行きたかったので、最初は挫折感(ざせつかん)たっぷりだった。でも美術に興味を持ち、勉強って楽しいかもと思えるようになった」と高橋さん。大学・大学院時代に計3年間イタリアに留学(りゅうがく)して修復(しゅうふく)、博物館学などを学び、学芸員の資格(しかく)を取得。大学に戻(もど)り、研究員をしていた1999年、数年後の美術館開館に向けて準備(じゅんび)を進めていた県の学芸員として採用(さいよう)されました。

 美術館は2006年にオープン。作品を借りるために国内外の美術館に出向いて交渉(こうしょう)、展示(てんじ)の配置を考える、観覧者(かんらんしゃ)に作品解説(かいせつ)、寄稿文(きこうぶん)の執筆(しっぴつ)、展示作品に関する書類処理(しょり)。多種多様な仕事に追われる日々ですが、続けられるのは「情熱(じょうねつ)があるから。知識(ちしき)は努力すればついてくる。不器用でも情熱を傾(かたむ)けて仕事できる人が、この仕事に向いていると思う」と言います。

 09年には、青森市出身で39歳(さい)で亡(な)くなった写真家・小島一郎の展覧会を企画。小島が県内各地を撮(と)った膨大(ぼうだい)な数の写真について研究し、知られざる地元作家の功績(こうせき)を掘(ほ)り起こしました。「写真に写っているのは私(わたし)ではないか」「なつかしい風景だ」など反響(はんきょう)の声も届(とど)きました。

 高橋さんは、学芸員の役割(やくわり)は「作品と鑑賞者(かんしょうしゃ)をつなぐこと」だと考えます。一見意味の分かりにくい作品でも、解説文を付けたり、会場で説明することで「言葉」を与(あた)え、いかに伝えるかを大事にしているそうです。


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