没後70年を超えて今なお、多くの人々に作品が読み継がれている、青森県を代表する作家の一人、太宰治。出身地の五所川原市金木(旧金木町)にある生家「斜陽館」は観光名所にもなっており、そこからさほど遠くない場所に、幹が12本に枝分かれたご神木「十二本ヤス」があります。夏場は車ですぐ近くまで行けるものの、冬は雪で閉ざされ、なかなか近づけません。そこで、かなぎ元気村主催の「DAZAI健康トレイル」に参加、十二本ヤスに会いに行ってきました。が、参加者がそこで見たものは想像を超えた…。

観光名所となっている、太宰治の生家・斜陽館

■太宰治のふるさとを歩く■

 主催の「かなぎ元気村」は、金木地区の昔ながらの生活文化・地域の伝統技術・自然環境を継承し、体験を通して世代間交流や都市農村交流を行い、地域の絆を深めることを目的に活動している団体です。ツアーを率いるのは、代表理事の伊藤一弘さんと、元気あおもり応援隊の木谷敏雄さん。当日は、参加者が「斜陽館」に集合、二人の指導を受けて体組成や血圧脈拍、体の表面温度などを測定してからトレッキングに向かいました。

いつもよりは少なめの雪の上を、スノーシューで歩きます

 

写真を拡大 青森ヒバでつくった真新しいピカピカの鳥居

■いつもよりは少ないと言うけれど…■

 今年の青森県は暖冬少雪が続き、トレッキングの数日前にどかっと雪が降ったものの、いつものに比べればだいぶ積雪は少ない状態。それでも十二本ヤスに近づくに従って雪深くなっていきます。片道約3キロ、およそ1時間半かけて歩き、ヒバでつくった真新しい鳥居までたどり着きました。そこから短い急坂を登って、十二本ヤスのすぐ目の前まで。

雪の中に十二本ヤスの案内板が

 そこには、十二本ヤスの由来などが書かれた案内板が立っています。十二本ヤスは、幹が12本に分かれた特異な形をしているヒノキアスナロ、いわゆる「青森ヒバ」の巨木で、樹齢800年以上と書かれており、。形が、魚を突く時に使う「ヤス」に形が似ているため、この名前がついたそうです。

奥に十二本ヤスのお姿が

 「十二本ヤス(シ)」と記述されているのは、地元では「じゅうにほんやし」と訛って?呼んでいるということでしょうか。

 

 

 近年、海外からの旅行客が全国的に増えており、ここでもローマ字表記が見えますね。

十二本ヤス(シ)!

じゅう…え?ZYUNIHON…

 

 ずぅーにほん、と読めますね(汗)

 ズゥーニホン ヤス。。。

 せっかくなので、「十二本ヤス」と書いて「ズゥーニホン ヤシ」と公式名称を決めてはどうでしょう。話題を呼ぶこと、請け合い。この看板を見に来るだけでも御利益がありそうです(笑)

 ズゥーニホン ヤシに到着したのはお昼ごろ。木の根元に腰を下ろし、配られたお弁当を広げます。おかずぎっしり、加えて太宰が好きだった若生(わかおい)のおにぎり付きです。

おかずぎっしりのお弁当
右側が太宰治が好きだったという若生おにぎり

■若生おにぎりをかみしめて■

 若生というのは、薄く柔らかい1年昆布で、津軽地方北部で食べられています。昆布の自然の塩味と、海の香りが楽しめますが、繊維の方向を考えて食べないと、かみ切れないので要注意です。

 十二本ヤスの幹は、仮に一本増えて13本になっても、一本は枯れてしまうのだとか。伊藤さんの話によると、12というのは神聖な数字で、12月12日は山の神様の日で、山の仕事に携わる人は仕事を休むのだとか。12…そう言えば、この日の参加者数も、偶然ですが12人…。

なんとも個性的なお姿

■森林鉄道遺構もたんのう■

 腹ごしらえをして、帰路をたどります。緩い下り坂が多くて行きよりも楽チン。予定よりも早くゴールにたどり着きそうだったので、ちょっと寄り道し、日本国内で初めて設置された森林鉄道の遺構見学です。トンネル跡などは本当に間近で見ることが出来ます。

森林鉄道遺構のトンネル跡

 津軽半島周辺の森林鉄道の総延長は280キロとも言われており、トレイルコースが何本もあり、中には当時の線路が残っているという所もあるそうです。夏でも冬でも季節を問わず、健康アップのための運動も兼ねて訪れてみてはいかがでしょうか。(C)