LINEグループやツイッターで出回ったうわさに関する書き込み(写真はコラージュ、一部を加工しています)

 新型コロナウイルスの感染拡大に不安が高まる中、青森県でも1月末ごろから、インターネットの会員制交流サイト(SNS)などで「県南の宿泊施設で十数人が体調を崩し、地元の病院に運ばれた」とのデマが拡散した。東奥日報にも同月31日夜、「子供が入っているスポーツ少年団のLINE(ライン)グループで情報が回っているが事実か」など、問い合わせが複数入った。東奥日報を含む各メディアが根拠のないうわさだと報じたものの、翌日以降も誤った情報の拡散は止まらなかった。

 LINEグループで情報を受け取った上北郡在住の30代女性は「怖い」という思いとともに、名指しされた宿泊施設に対する風評被害がないか心配になったという。情報は知人から届いたが、出どころは分からなかった。画像の状況から「フェイスブックの画面を撮影したものではないか」と推測する。

 ツイッターの投稿をたどると「病院に勤めている家族からの情報」として「武漢からの観光客100人単位で宿泊していて、体調不良で市立病院に運ばれた」「はっきりとコロナウイルスと診察されなかった様ですが、かなり要注意」といったLINEグループで回った画像と同内容の書き込みが見つかった。

 断定的な書き方ではないが、誤った情報がリツイート(引用して発信)され「三沢の○○○(宿泊施設)でコロナウイルス感染者まじ? あそこ外人多いからな~」「コロナウイルス出たんで○○○(宿泊施設)は閉鎖して」と、発信が事実という前提の投稿が目立った。

 グーグル検索の推移をグラフ化できる「グーグルトレンド」で調べると、1月31日の日中まで少なかった「青森」「コロナウイルス」のキーワードを使った検索が、同日夜に急カーブを描いて上昇。病院名、宿泊施設名の検索も同じ傾向で、同日夜に情報が一気に拡散したと推測できる。

 投稿で名指しされた宿泊施設の広報担当は「この件でキャンセルなど損失はない」とし、法的措置の考えを否定しながら「(デマは)お客さまにご心配をお掛けする。また、対応に追われることで、おもてなしの時間にも影響が出る」。三沢の病院関係者は「その日、同時に何人も搬送されたような事実はない。通院者も不安になるし、(デマは)非常に迷惑」と憤っている。

 また、県内テレビ局が速報字幕で青森県男性の感染情報を流したとして、訂正するべきだ-といった趣旨の書き込みもあったが、局側は「三重県在住男性の感染に関する字幕は出したが、県内男性と出した事実は一切ない」と困惑気味だ。

 ほかにもSNS上でのデマが全国的に広がり「コロナウイルスは中国の生物兵器」や、生理食塩水、紅茶などが効果ありといった信ぴょう性に乏しい情報に加え、行政や報道機関からの情報に対し「事実を隠しているのでは」といった、うがった見方の書き込みも。

 ネット上で、悪意を持ってデマを発信する人がいる一方、親切心から「友だちに教えてあげよう」と真偽を確かめずに不正確な情報を拡散してしまう人も少なくないが、結果的にデマを拡散してしまう状況が、今回の騒ぎで改めて浮き彫りになった。