響(ひび)け、町の誇(ほこ)り「風太鼓(かぜだいこ)」−。今年、統合(とうごう)創立(そうりつ)50周年を迎(むか)える外ケ浜町(そとがはままち)蟹田の蟹田中学校(かにたちゅうがっこう)では、地元の創作(そうさく)和太鼓(わだいこ)「風太鼓」が先輩(せんぱい)から後輩へと受け継(つ)がれています。10月18、19の両日に開いた文化祭では、2度のステージが大成功。12月7日には、八戸市公会堂で開かれる「第3回東北太鼓ジュニアコンクール」への出演(しゅつえん)が決まっています。
「風太鼓」の名は、本県出身の作家・太宰治(だざいおさむ)の小説「津軽」の一節「蟹田ってのは、風の町だね」にちなんでいます。1990年に町の大人たちが始め、2001年からは学校でも取り組むようになりました。「風の彩(いろど)り」「東風(ひがしかぜ)」「風の永遠(とき)」などの曲があり、蟹田の風土や、そこに暮(く)らす人たちの思いが表現(ひょうげん)されています。
文化祭直前のある夜。風太鼓保存会(ほぞんかい)の梅田永(うめたひさし)さんらが学校を訪(おとず)れました。「みんなでステージをつくり上げる喜びを感じてほしい」。大人たちの指導(しどう)は夜遅(おそ)くまで続きました。
そして、文化祭のステージ本番。リーダーで生徒会副会長の田澤愛実(たざわかなみ)さん(3年)を中心に32人が息を合わせ、威風堂々(いふうどうどう)の演奏(えんそう)を披露(ひろう)しました。生徒たちは、ばちの一振(ひとふ)りもおろそかにしません。それは、風太鼓には、町に新たな「風」を巻(ま)き起こそうという、地域(ちいき)の熱い願いが込(こ)められているからです。会場に詰(つ)めかけた父母や地域の人たちからは、アンコールの大きな拍手(はくしゅ)が送られました。
田澤さんは「会場が私たちの風太鼓の音色で一つになったような気がします」とステージを振(ふ)り返り、「12月のコンクールでは蟹田を、そして風太鼓を知っていただけるよう精(せい)いっぱい演奏(えんそう)します」と話していました。