南米の血が混じった?五所川原立佞武多風のやぐら
ボロをまとって飛びます飛びます
派手にぶっ壊してる様子をみんなで激写w
ゲイシャがエビぞり
ステラボールの入り口はこんな感じ

 東京品川に、青森の「ねぶた」が〝出陣〟しているらしい−そんな話を聞いて、新幹線「はやぶさ」に乗って確かめに行ってきた(笑)場所は、JR線・京急線の品川駅高輪口からすぐ目と鼻の先の品川プリンスホテル ステラボール。会場入り口のスタッフに恐る恐る聞くと、アルゼンチン発のエンターテインメント「フエルサブルータ」を上演しているという。で、なんでそこにねぶたが???取りあえず入場してみると、紙吹雪が飛び、人が飛び、ゲイシャが逆さでくるくる回り、水が飛び散り、プールが頭上から降りてきて…。うまい表現が思いつかないけれどとにかく、幻想的で迫力満点、極上の360度3Dエンターテイメントが繰り広げられていた! 

■ケモノの力を解放■

 そもそもフエルサブルータって?大手芸能事務所・アミューズの総合研究所首席研究員で、品川公演のプロデューサーを務める辰巳清(たつみ・きよし)さんによると、スペイン語でフエルサは「力」、ブルータは「野蛮な」で、「ケモノの力」といった意味なのだそう。ますます「?」だが、もともと、アルゼンチンを本拠地にする芸術集団名だとのこと。 

■ステージの概念なし■

 2008年、ニューヨークでの公演を観たアミューズの大里洋吉(おおさと・ようきち)会長が感激し、演出家のディキ・ジェームズさんに連絡を取ったところ、とんとん拍子で日本をテーマにした新作をつくることに。外国人演出家の目を通した日本をテーマにした作品をつくるため、ディキさんは日本全国さまざまな場所を訪ね、多くの資料を見て構想を重ね「WA!! −Wonder Japan Experience フエルサブルータ」が誕生、2017年8月の開幕にこぎ着けた。このパフォーマンスの見所の一つが、青森県五所川原市の「立佞武多(たちねぷた)」をモチーフにしたものなのだという。フエルサブルータには演じるための特別なステージという概念がなく、前後左右、上下関係なく、会場全体で展開されるパフォーマンスだけに、横長の「青森ねぶた」ではなく、高さがある「立佞武多」が目に留まったのもうなずける。ちなみに、「立佞武多」風のやぐら制作に当たっては、ねぶた師の意見を聴いた上で舞台クリエイターが手掛けたそうだ。

■え?写真、動画撮影OK?■

 コンサートでも演劇でもミュージカルでもない、観客と出演者が入り交じって繰り広げられるパフォーマンスは圧巻で、観客も、写真や動画撮りまくり、SNSにアップしまくり………え?ダメじゃん、と思ったら、写真、動画のSNS配信OK、それどころかウェブでライブ配信することも可だという。辰巳さんによると、「常に解放されている」ことを重んじ、制限をなるべく設けないのがフエルサブルータ流。「インスタ映え、SNSのプロモーションを考えてのことではなく、ずっと前からそうでした」と言う。

■ボロ衣装も青森発!?■

 さらに、辰巳さんからこちらが気付かなかった新事実が明かされた。オープニングと終盤に、農民姿のパフォーマーたちがひと塊になって飛ぶ場面があるが、彼ら、彼女らが身につけている衣装は、青森の「ボロ」をモチーフにしたものなのだと! 辰巳さん曰く「農民がもがき苦しみながらも、現状を打ち破ろうと塊になって空を飛んでいる」という場面なのだ。「ボロ」と言うと聞こえが悪いが、貧しい農民たちが厳しい自然の中で生きるため、わずかな端切れも無駄にせず大切に紡いできた、青森の、ひいては日本の人々の暮らしの歴史とも言うべきもの。破れ、ほつれ、シミですら美しく、感動を覚える。これに目をつけたディキさんも素晴らしい。辰巳さんは、浅草の「アミューズミュージアム」にも携わっており、同所では現在、青森の「ボロ」の現物を展示した特別展「BORO 美しいぼろ布展〜ボドコ、生命の布〜」を開催中。こちらにもぜひ注目したい。

■武士や忍者、ゲイシャ、和太鼓、ねぶた、鳥居■

 話が脱線したが、とにかく、フエルサブルータを言葉で言い表すのは難しい。演者も観客も国籍を問わないパフォーマンスで、セリフそのものがない。公演は観客動員10万人を超え、ロングランが決定し、2月28日まで公演日程が発表されている。内容も随時ブラッシュアップしているというので、一度見た人もそうでない人も、青森に関わりのある人も、そうでない人も楽しめる。武士や忍者、ゲイシャに和太鼓、ねぶた、鳥居と、ニッポンの要素満載し、南米の感性を反映した演出を観に、ぜひ品川の会場に足を運ぶべし!(C)