ゆでたてのフジツボ。よく見るとエイリアンっぽいですが
中身はこんな感じ
豆知識を披露する うららさま
テーブルに工具w

 「これ、最初に食ったやつマジすげー」的なリアクションを必ずいただく海の食べ物。ウニ?ナマコ?クラゲ?ノンノン。船の底や岩場にへばりついているあの「フジツボ」です。え?食べたことない?そりゃそうでしょ。食用に適したものは絶対的に資源量が少ないから、産地もしくはよほどこのおいしさを分かっているお店や、首都圏の料亭などでないとお目にかかれない「幻の高級食材」なんです。そのお味といったら♪ エー、気持ち悪ッとか言わないで、チャンスがあったら迷わず食べてみるべし。そんなレアな食材に出合える機会が多いのが青森県。今、新たな養殖技術の開発で、手軽に食べることができる日もそう遠くない?らしい。

 青森県の太平洋側、八戸市で開かれた会合「フジツボ夜話」。何やらあやしい感じのタイトルですが、地元の八戸学院地域連携研究センターが主催し、参加無料でフジツボの試食ができるとあれば、行かないわけにはいかんでしょう。でも、会場に集まるのは、海洋生物を暗闇で研究しているようなムサッくるしい男ばかり(←超偏見)では、と思いきや、おぉ、意外と女性が多いっ。

 しかも、フジツボ女子界wのアイドル 英ウェールズ大学バンガー校卒の海洋生物研究家、倉谷うららさまが講師のひとりとあって、うららさま目当ての来場者もちらほら。中にはうららさまの本「フジツボ 魅惑のあしまねき」を手にした小学4年生女子も。なんてマニアックなんだ。。。

 もちろん、フジツボ研究を行っている先生方もそろって、ちゃーんとアカデミックな会合です。が、テーブルの上にあるのは、工具(笑)青森県民はフジツボを食する時、くちばしみたいなところを持って身を引き出してすすり、残ったスープを飲むのが定番。でも、この日はニッパーでパキッと殻を割って、楽々いただくことができました。その様子は、動画でどうぞ。

 フジツボって言えば、岩場で転んだら後日、膝が痛くなり、調べたら膝の中にフジツボがびっしり…なんて都市伝説も聞くけれど、もちろん「生えねーし」ってうらら様が教えてくれました。いや、こんな口調じゃなかったけど。

 あと、岩場などにくっついていて動けないから、繁殖のために×××が体長の8倍まで伸びるとか(雌雄同体なんですが、交尾するそうで)目からウロコ、いや、目からフジツボがポロリの豆知識満載のお話でした。で、うららさまが特別かと言ったら、「種の起源」で有名なチャールズ・ダーウィンもフジツボマニアだったとか、南方熊楠も研究していたとか、なんでこれに興味持ったかナーって方々が多数いるんです。

 生物学的な興味はさておき、フジツボがゆであがったんで、本能の赴くままにしゃぶりつく。う〜ん、ウニのような食感、カニのようなお味にうっとり。つまり、おいしーのです。それもそのはず、フジツボは貝類ではなく、エビ、カニと同じ甲殻類。うららさまも「間違って書いている本もありますが、貝ではありませーん」って力説しています。そんなうららさまのベルトもフジツボ、バッグもフジツボ、ブローチもフジツボって、どんだけフジツボ愛にあふれてるんですかっ。

 ちなみに、青森県では陸奥湾で、ホタテの殻を使ってフジツボを養殖していますが、なんたって、セメント質の分泌物で複数のフジツボがくっついちゃうので、どうしても市場価格が高くなってしまう。そこで、一個一個独立したフジツボ養殖ができないか、という研究が八戸学院大で進行中なのです。研究に当たり、東日本大震災が障害になったりしているわけですけれど、その辺は長くなるのでまたあらためて。ともあれ、新しい養殖技術の確立で、この珍味が今よりもお安く味わえるようになるってことらしいので、その日を今か今かと待ちましょう。(C)