10月10日の一斉発売には「青天の霹靂」を求めて長蛇の列が=青森市内の量販店
「青天の霹靂」リモートセンシングのイメージ図(青森産技センター農林総合研究所資料から)
「霹靂は自信を持って薦められるコメ」と話す工藤さん

 2015年秋に店頭に初登場し、全国各地で品切れ続出となった青森県期待の銘柄米「青天の霹靂(へきれき)」。今年10月10日の新米発売日には、青森市内のスーパーに特設コーナーが登場。50キロまとめ買いする家族連れ、化粧箱入りの贈答パックをショッピングカートに山積みする人の姿もあった。衰える気配のない人気ぶり。おいしさのヒミツを探ってみると、興味深い事実が。全国に先駆けて衛星画像を活用したハイテク栽培を取り入れ、田んぼ1枚ごとにおいしく仕上げているというのだ。

 そのコメづくり。「青天の霹靂」で利用されているのは衛星画像などを基にした(1)タンパク含有率(2)収穫適期−の2種類の地図。食味を下げるタンパク質が増えすぎていないか、刈り遅れの傾向がないかを、上空から見た田んぼ(稲)の色合いなどから診断し、各農家や指導機関が肥料管理や適期収穫に役立てるという仕組みだ。

 この方法。全国のコメ産地でも導入できそうなものだが、青森が先行したのには理由がある。全国的に見て、青森は田植え時期が短いのだ。国のデータによると、青森県の田植え期間は12日間前後なのに、関東より南では30〜40日間ほどもある。つまり、一斉に田植えが始まるから、収穫までの予定が立てやすいということらしい。ちなみに、青森県内のコメ関係団体の指導体制が整い、リモートセンシング技術のフル活用が可能になったのは16年産からだという。

 「青天の霹靂」は、おいしいコメのお墨付きとされる日本穀物検定協会の「コメ食味ランキング」で、14年産の霹靂が参考出品ながら青森米として史上初の最高ランク「特A」をゲット。市場デビューを果たした15年産も「特A」を維持した。

 とはいえ、とにかく味にこだわったコメだけに、作付けできる生産者や田んぼは、県内のごく一部に限られ、15年産は年が明けると、ほとんどの店頭から姿を消した。すると、消費者からは「食べたくても買えない」「もっと、たくさん作って」の大合唱が。16年産は、ニーズの高まりもあって作付面積が3倍の1500ヘクタール余りに増えたが、今後は品質を落とさないことがカギ。その強力なツールがリモートセンシングというわけだ。

 「コメ農家には、培ってきた経験と勘があるが『霹靂』は、それだけじゃない。最先端の技術を取り入れた全国に自慢できる栽培管理なんですよ」

 こう話すのは、津軽みらい農協(本店平川市)で特A米プレミアム研究会の会長を務めている工藤憲男さん(64)。ベテラン稲作農家として、4年前の試験栽培から「青天の霹靂」づくりに携わってきた。「炊飯器を開けた時に、香りの良さ、粒がしっかりしていることに驚いた。これなら、よその銘柄米にも負けない」と、今秋の作柄にも自信満々だ。

 「衛星画像で監視されている」と聞けば、身辺をのぞき見されているようで少しドキっとするが、田んぼ1枚ごとに稲の育ち具合を見守ってくれるというのは有り難い。「脂がのったサバやサンマの居所も、衛星で探して獲ってきてくれないかな」。炊きたてのご飯を手に、ふと思ったりする。(h)