たまねぎ畑で、収穫を手に笑顔の「たまねぎ王子」こと松原さん

 青森県三戸町に「王子」がいる。そんな話を聞いたのは数年前。気になって訪ねてみると、王子はドラッグストア近くのタマネギ畑にいた(笑)「たまねぎ王子」と呼ばれているのは、松原農園の松原健彦さん(31)。昼は会社員、早朝・夜間は農業者、時々CM、雑誌、ウェディングイベントのモデルを務めるイケメンだ。全国トップクラスの野菜生産地の青森県ではニンニク、ナガイモなど、生産量全国トップがごろごろあるが、玉ネギは全国でも青森県でも、あまり目立たない。そんな中で、爽やかなルックスの松原さんは父親とともに、こだわりの玉ネギ作りに励む、見た目だけではない、一本芯の通った熱い思いを持った農業者だった。

 松原農園では、ニンニクなどの根菜類とリンゴを生産していたが、リンゴは台風など天候の影響で価格が下がることもしばしば。このため、安定収入のために7年ほど前、根菜栽培のノウハウを生かした玉ネギづくりに乗りだした。

 畑の一角にある「つるし小屋」には、茎を残して干した、大玉の玉ネギがびっしりとかけられていた。その重量5〜6トン。通常より2カ月ほど長く栽培し、茎を残すことで養分が、より多く玉ネギに移るのだという。このやり方は、西日本、淡路島などで行われている手法で、東北以北では珍しいとか。品質面でも、旨みを出すため魚の肥料や牛ふんの堆肥などを与え、肉厚で水分量の多い玉ネギに仕上げている。

 そこで、試しにひとかじり。テレビなら「うまいっ」とか「あま〜い」なんて大げさに騒ぐのだろうけれど、と思いつつ………ん!!!甘っwww

 口の中に広がったのは自然な甘さ。一般的に玉ネギは、乾燥させることで新玉ネギのようなみずみずしさと甘さを〝犠牲〟にして日持ちを良くしているが、王子の玉ネギは何と新玉ネギ並みにみずみずしい。もちろん、しばらくすると健康成分「硫化アリル」の辛さが襲ってくるが、普通に売っている玉ネギとは明らかに違う、と断言しよう。

 品質を買われて、首都圏の有名レストランにも納入しており、料理研究家・料理家枝元なほみさんが主宰する農業支援団体趦チームむかご趦の玉ネギドレッシングにも使われている。と聞くと、身近なところで手に入らないのでは?と思ってしまうが、そこはご安心を。八戸市の地場スーパー「みなとや」や、十和田市の石窯ピザ「オルトラーナ」でも購入可能だ。遠くの方は、地場野菜の流通を手掛ける「ノースビレッジ合同会社」(電話0178−20−9115)から送ってもらえる。ぜひこの玉ネギを手に入れて、王子の顔を思い浮かべながら、存分に味わってもらいたい。(C)