西目屋村のナスラー前で新ラジオ体操安全版を披露する斎藤さん(中央)と明治大の学生ら

 子どものころから慣れ親しんだ「ラジオ体操」。でも、身体の動かし方によっては筋肉や関節を痛める恐れもあるのだとか。そこで、反動をつけず身体を動かす「新ラジオ体操 安心版」を考案し、青森県から発信しているダンスウォーク主宰の斎藤洋子さん=弘前市在住=を訪ねた。

 斎藤さんは同市内で、クラシックバレエをベースにフロアストレッチ、バーレッスン、ステップで構成した「ダンスウォーク」と「いす体操」を教えており、ダンスウォークの中級クラスは今年で15年目に入った。バレエ経験者と聞いて優雅な動きを想像していたが、「新ラジオ体操安心版」は津軽三味線のビートがなかなか激しく、中には少し難しい動きも織り込まれている。聞くと、専門はモダンバレエで、ジャズダンス、エアロビクス、ヨガなどさまざまな角度からエクササイズを学んだのだとか。ちょっと高齢者には難しいのでは?斎藤さんは「たとえうまくできなくても、ぐらぐらすることに気付くことが大切」と言う。

 広島県呉市出身、弘前市に移り住んで18年目の斎藤さん。住み始めた当初は雪に慣れず、滑って転んで身体はぼろぼろ。「このままでは踊るどころか歩くことすらできなくなるかも」と危機感を持って自主トレ。回復後、「同じようにトレーニングをすれば、関節が痛い人も回復できるのでは」と思いついた。自身、子どものころは身体が弱く、今もそれほど無理をすることはできない。「健康のありがたさを知る私だからこそ、健康な身体は自らつくれることをお伝えしたい」と活動しているという。ちなみに斎藤さんは57歳。エクササイズのおかげか、姿勢が良く、とても若々しい印象だ。

 「新ラジオ体操 安心版」の音楽は、「元気な曲を」といろいろ探し、「林檎華憐歌」に行き着いた。作者は同じ弘前市在住の音楽家・ビートまりおさん、歌っているのがビートまりおさんの母で、連絡を取ると快く提供してもらった。さらに、曲には東日本大震災後、みんなに元気になってもらいたいとの思いが込められていると知り、同じ思いに胸が熱くなった。身体の隅々を使うモダンバレエで身についた、身体にいい動きをリズムに乗せ、弘前城やリンゴ公園、藤田記念庭園の洋館前など青森の風景を背景に収録。これからさらに、青森県内の名所を背景に、発信しようと考えている。

 6月に行った、世界自然遺産・白神山地の中にある西目屋村の「ナスラー」前の収録には、村に調査実習で来ていた明大農学部食料環境政策学科の学生5人も参加。3年生の高橋一路さん(21)は「年齢、性別問わずにみんなが集まれる場所があるのは素晴らしいこと」と話した。「撮影している最中、通りがかりの人が一緒に体操をしてくれるようになれば」と斎藤さん。今のところ、撮影をしていても素通りされてしまうが、Youtubeやフェイスブックなど、主にネットで絶賛拡散中の同体操は「バレエをベースに、死ぬまで元気に動ける身体でいられるエクササイズです。覚えれば誰でもできますよ」。どんな体操なのかはまず、動画を一度ご覧あれ。(C)