食品リサイクルの成果の原木から生ハムを削り出す三浦社長
工房で振る舞われた味わい深い生ハム
生ハム塾生の生ハム原木。おおわに自然村で乾燥・熟成してる様は壮観だった

 青森県大鰐町の廃校を利用した工房で5月、地場の生ハムづくりがスタートした。日本の消費者にとって、これまでほとんどお目にかかることができなかった国産生ハムの「原木」(脚1本分)が、市場に流通する。また、一般への販売とは別に、参加することで原木1本がまるまる手に入る「生ハム塾」も開催されている。同塾の費用は3万円。これを高いとみるか、安いとみるか。実際に生ハムを作った体験者の立ち場から言おう。「迷わず参加するべし」。

 工房は、弘前市の有限会社「エコ・ネット」(三浦浩社長)が手掛ける。廃棄物収集運搬業の同社が、スーパー、コンビニ、ホテルなどから出る食べ残しなどの食品廃棄物を回収し、飼料化。これを利用して豚を肥育し、生ハムをつくる。地域の「もったいない」を解消し、食品リサイクルのループをつなげる実践の場が同工房というわけだ。

 約20年前に廃校となった「大鰐第三小学校」(同町早瀬野)を活用した工房がスタートするまで、エコネットは同町長峰駒木沢にある「おおわに自然村」の一角で豚を飼い、2013年から生ハム塾を開講。温度管理をしたコンテナ内で生ハムを熟成させてきた。これからは自然村で豚を放牧して育て、工房で生ハムを製造する。

 初年度、実際に生ハムづくりを体験したが、脚1本は15キロもあり、予想以上に大きかった。最初の作業は、下処理された脚の血管に残っている血抜き。血が腐敗の原因となるためだ。血管に沿って血を指で押し出し、拭き取っていく。出てくる血はそれほど多くないが、力がいる。血抜きが済んだら今度は大量の塩に漬ける作業に汗をかいた。だが、作業はそれだけ。塩抜きや保管、手入れ等はエコ・ネット側がやってくれる。ちょっと拍子抜けで、もう少し手をかけたいくらいだ。

 完成までの期間は脚のサイズや気候によって幅があり、完成品が手元に届いたのは約2年8カ月後。自分で手をかけた(と言ってもちょっぴりだが)こともあってか、美味しかったことは言うまでも無い。舌にぴりっと来る刺激は、生ハムが発酵食品であることを思い出させてくれた。同じ脚でも部位によって肉質が異なり、ナイフを入れる度、美しい色調と芳醇な風味に感動。「素晴らしい体験をありがとう」と言わずにはいられない。エコ・ネットの三浦社長は「自然熟成なので時間がかかるが、待つのも味のうち。できあがりを楽しみにして下さい」と話している。(C)