昭和の雰囲気漂う「きたむら茶屋」の店内。左端が栗谷川さん、右から2人目が日渡さん
「ひるね じゆう」の張り紙があちこちに。どこで寝ようかと悩んでしまう

 青森県南部町に2015年8月オープンした、昭和の香り漂う「きたむら茶屋」。ゴールデンウイーク後半初日の3日昼、鶏煮干しそばを食べてから「ひるね じゆう」の張り紙通り、折角だから昼寝してみた。その結果…。

 きたむら茶屋は、同町の空き家を改装したお店。改装といってもほとんど元のままを生かしているので、田舎のおばあちゃんの家といった雰囲気だ。昭和20年代の歌謡曲が流れ、大きなラジオやブラウン管テレビ、黒電話など、周辺から集まった昭和のアイテムが並ぶ。メニューは鶏煮干しそばや「煮しめ」、甘酒など、地域の伝統食や地場の食材が多い。さらに、同居する「殿さまあんぱん」(店主・日渡幸浩さん)のパン類も人気で、隣接する八戸市に加え、休みの日には十和田、青森、弘前など県内他地域からも来客があるという。

 店内の張り紙は「ひるね じゆう」のほか、「ごじゆうに むぎ茶」「御用の時、鳴らす」、トイレには「おとこ、すわる」「ふた、しめる」となぜか片言。きたむら茶屋店主の栗谷川柳子さんに理由を聞くと「今の世の中は忙しすぎ。のんびりした時間が流れる茶屋で、ゆっくりしていってほしいんです」。つまり、ゆる〜い感じが売りなのだという。

 だが言葉に反して、お店は案外忙しい。「殿さまあんぱん」は、あんこがぴっちり入った看板商品で、ほかにも発酵バターと卵黄で仕上げたホテルブレッド「御殿ぱん」、クルミやレーズン入り、あんことチーズ入りなど品目を徐々に増やしており、茶屋、パン屋ともに固定ファンが増加中。「できるだけ添加物を使わず、シンプルに、素朴なおいしさを追求しています」と日渡さんは言う。

 日当たりのいい縁側は、板の間と座り心地のよさそうなソファー席が選べる。奥側のソファーに陣取り、申し訳程度に本を開き、昼寝モードに突入。だがこの日は気温が急上昇し、汗ばむ陽気。隣接する八戸市は最高気温26.8度だったというからまるで夏。一瞬意識が途切れたが、午後イチの強い日差しに焼かれ、汗をかいて目が覚めた。この日は縁側で昼寝をするには暑すぎた。

 店内滞在が長くなり、迷惑な客と言われそうだが、特にかまわれないのでそのまま居座ってみる。来客の人間観察も面白い。やたらと盛り上がっている女子3人グループ。暑くてシャツ一枚になって店内を走り回る小さな兄弟は、昭和のオヤジにがっつり叱られそうだ。

 滞在時間が3時間を越えると日が陰り、外から心地よい風が入ってきた。「絶好の昼寝のチャンス」と思ったが、夕暮れは予想以上に速く、あっという間に肌寒くなって窓を閉めることになった。

 結局、トータルで4時間の滞在。縁側で予定外の日焼けをしてしまったが、栗谷川さんが言うとおり、ゆったりと流れるぜいたくな時間に癒された。しかし、毎日通ったら、癒されすぎて廃人になりそうなので気を付けよう。きたむら茶屋は旧福地村の国登録有形文化財田中家住宅向かい。電話0178-20-9115。(C)