今年の田んぼアートについて、発表会見の後に取材を受ける鈴木会長
村役場4階に新設する展望デッキの工事現場。奥に見えるのが田んぼアートの第1会場

 今や全国区の知名度がある、青森県田舎館村の田んぼアート。今年も、同アートを実施する「村むらおこし推進協議会」が4月26日、恒例の発表記者会見を行った。だが、年に一度の〝晴れの場〟で、なぜか協議会会長の鈴木孝雄村長は浮かない表情。その理由は………。

 会見で同会長は、今年の第1会場がNHK大河ドラマ「真田丸より 石田三成と真田昌幸」、第2会場は東宝の新作映画「シン・ゴジラ」と発表したが、毎年行っている図柄の披露は行わず、番組の出演俳優と映画のポスターを示しただけ。NHK、東宝の意向で、完成時のイメージは公開できないという。

 ここで図柄が示されるのが恒例だけに「なぜ示せないのか」と報道陣から質問も。鈴木会長は苦笑いしたり、口をへの字に結んだりで「きょう、図柄が発表できると思っていたがなかなか…。一般の方が待ち遠しく思っているのに、こちらとして少し申し訳ない思い」と歯切れが悪い。

 さらに「ちょっと手持ち無沙汰というか、例年、(題材選びの際は)協議会で採決までもつれ、美術担当の先生と私に一任する、というところまで行くほど白熱する。今年はそれがなくなり、物寂しい」と本音をポロリ。「来年は、おそらく私たちが考えるいいテーマでやれるんじゃないかと考えている」と、早くも来年の田んぼアートに言及した。

 同会長や事務方の説明によると、昨夏、NHK、東宝からそれぞれ作品のPRに活用したいと村に打診があった。第1、第2会場両方が外部からの要請の図柄になるのは初めて。ちなみに、両社から村に資金提供は「一銭もない」(同会長)という。ただ、村にとっては図柄使用に関する費用が発生せず、話題作ということで集客が見込めるというメリットもある。

 昨年は第2会場の題材として、公開前の米国大作SF映画「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」を選び、大きな話題を呼んだ。第1会場も「風とともに去りぬ」の映画ポスターを基にした図柄とし、報道される機会が多かった影響からか、過去最高となる入場者34万人を記録した。

 「村おこし」という名前を冠する協議会としても、大手の話題作の影響力は魅力的。ただ、会見を通じて「一体誰のための田んぼアートか」との疑問もわく。大手2社から持ち込まれた企画を、どのように村の思いを込めたイベントとするのか、今後の推移に注目を。(C)