十和田ガーリックポークに包丁を入れる中田さん。本県出身の常連客も多いという

 明治神宮に近い小田急線参宮橋駅(東京都渋谷区)を降りてすぐの場所にあるイタリアンレストラン「IL VISCHIO(イル・ヴィスキオ)」。駅前の騒がしさはなく、落ち着いた雰囲気で本格料理が楽しめる。本県産の食材を多用するオーナーシェフの中田淳さん(46)=弘前市出身=は「青森は肉も野菜もいいものがそろう宝の山。もっと多くの人に分かってもらえるように手助けしたい」と故郷への思いを込める。

 中学生のころ料理に興味を持った中田さん。弘前高校卒業後に進んだ辻調理師専門学校(大阪)で、今やテレビでもおなじみのイタリアンシェフ落合務さんと出会った。「シンプルなのにめちゃくちゃおいしい」落合さんの料理に魅了され、専門学校を出ると迷わず、当時落合さんが働いていた東京・赤坂のレストランに就職。1999年から2年半のイタリア修業を経て、2013年4月、イタリア語で「宿り木」を意味する「IL VISCHIO」をオープンさせた。

 「手を掛けすぎない、ナチュラルなイタリア料理」を売りにする店は、競争の激しいエリアで徐々に評価が高まった。お客の勧めで県産食材を使ったのはオープン2年目のころ。生産者や行政関係者から口づてに知った新たな食材を次々と試し、「気付けば青森県産だらけになった」。十和田ガーリックポーク、青森シャモロック、シードル…。ハーブなどの野菜も多くが県産品だ。

 看板料理のカルボナーラを引き立てるのも田子町産の卵。「味が濃くてしっかりしている。生クリームを使わないので、卵本来の味を楽しめます」と中田さんは話す。全食材に占める県産の割合はオープン当初1割に満たなかったが、今は8割程度まで上がったという。

 「これだけおいしいものがたくさんあることに驚きました。リンゴとニンニクだけじゃないことを多くの人に伝えたい」と中田さん。故郷への思いは年々強まり、県産食材を使ったレトルト食品の商品化も手掛けてみたい-と意欲的だ。「東京で店をやっているからこそできる貢献がしたい。青森と関わり続けるのが目標です」